マツコを起用した日テレプロデューサーはジュリー派・反SMAPの急先鋒
周知のように、ジャニーズ事務所ではSMAP解散前から、“女帝”メリー喜多川副社長の娘・藤島ジュリー景子副社長と、SMAPのマネージャー・ 飯島三智氏の激しい派閥抗争を繰り広げてきた。派閥抗争はテレビ局の編成や人事まで影響を及ぼし、局の内部をジュリー派と飯島派に二分していた。
これがのちにSMAP独立騒動につながるのだが、そんななか、露骨なまでにジュリー派一辺倒だったのが日本テレビだった。日テレはフジテレビのSMAPに対抗する存在として、ブレイク前から嵐を推し続けてきたが、たんに嵐を売り出したというだけでなく、同時にSMAPを潰しにかかっていた。
その急先鋒が、月曜22時の『しゃべくり007』であり、『嵐にしやがれ』を手がけた田中宏史プロデューサー(現・編成局編成部長)だ。『しゃべくり007』は2008年に『SMAP×SMAP』の裏にぶつけるためにスタートした番組で、実際に視聴率で抜くなど日テレのSMAP潰しの象徴のような存在だが、その功労者である田中氏をメインプロデューサーに据え、2010年に嵐のプライムタイムの冠番組『嵐にしやがれ』がスタートする。もちろんこの人選の背景には日テレのさらに上層部の意図もあったと言われている。
この人選は、飯島氏とSMAPを追い落としたいジュリー氏も大歓迎で、田中プロデューサーはジュリー氏にかなり気に入られ、その後、『月曜から夜ふかし』や二宮和也の冠番組『ニノさん』、櫻井翔司会の大型音楽特番『THE MUSIC DAY』を手掛けるなど、ジュリー派のお抱えプロデューサーのような存在になっていった。さらに、派閥対立が激化していた頃には、局内で「SMAPを潰す」と公言していたという話もあるほどで、2014年にはほかでもないキムタクの『HERO』初回の裏番組に、日テレは『有吉ゼミ×深イイ話合体4時間』という力の入った特番をぶつけたのだが、このときも関ジャニ∞の横山裕をゲスト出演させている。
この田中氏がジュリー派の嵐、関ジャニ∞と並んで番組に起用してきたのが、くりぃむしちゅー、有吉弘行、そして、マツコ・デラックスだった。田中氏は『しゃべくり007』レギュラーのくりぃむしちゅーの所属事務所・ナチュラルエイトに食い込んでおり、同じ事務所に所属しているマツコを猛プッシュ。『月曜から夜ふかし』『マツコとマツコ』『マツコ会議』など、複数の冠番組を立ち上げた。