K-POPを排除し、嫌韓ニュースばかりを取り上げるテレビ局
こういったことが起きる背景には、メディアの責任もある。
日本においてK-POPアイドルが欧米や日本のアイドルをしのぐほどの絶大の人気を誇っているのは事実。しかし、それはテレビの外の話だ。ネトウヨからの炎上攻撃を恐れたテレビ局は地上波の音楽番組やバラエティから多くのK-POPアイドルを排除している。前述の『あさイチ』はそういった状況下において稀有な例だったが、結局それも大炎上してしまった。今後テレビ局がこういった特集を組むのに萎縮してしまう可能性は高いと言わざるを得ない。
7月6日放送『THE MUSIC DAY 2019〜時代〜』(日本テレビ)では、大阪でのコンサート終了後のBTSがコンサート会場からの中継で登場して「Boy With Luv -Japanese ver.-」を歌唱した。BTSは昨年「原爆Tシャツ」炎上の際に「ミュージックステーション」(テレビ朝日)など音楽番組の出演をキャンセルされたのも記憶に新しいが、それから8カ月近くの時間が経過して日本では久々の地上波テレビでのパフォーマンス披露となったが、しかし、SNSではBTS出演に対して相変わらず炎上状態になっており、今後こういった動きが続くかは分からない(そもそも、いまやアメリカ、ヨーロッパ、南米でもスタジアムクラスのコンサートを成功させる規模になったBTSが日本の音楽番組出演を重要視するかはまた別の問題だが)。
そのようにK-POPアイドルが日本の音楽番組から排除されている一方(日本人メンバーの在籍する女性アイドルグループTWICE、IZ*ONEは除く)、K-POPアイドルのスキャンダルは嬉々として取り上げている。
V.I(元BIGBANG)による売春斡旋疑惑、パク・ユチョン(元JYJ、元東方神起)の覚せい剤使用疑惑など、K-POPアイドルをめぐるスキャンダル報道は日本のワイドショーでも連日報道された。
しかし、その扱いは「他人事」「上から目線」に終始し、日本社会や日本の芸能界における問題は棚に上げた報道であった。その裏に、蔑視感情があるのは疑いようもないだろう。
韓国芸能界とそれを取り巻く権力の問題は、日本においても同種の問題が現在進行形で起きている。韓国で起きていることを報じるのならば、当然、日本における問題も指摘し、日本国内におけるそういった状況の是正を提案する報道をしてしかるべきだろう。
そのような報道がなされなかった理由は明白だ。メディアの側が本当に伝えたかったのは、問題それ自体ではなく、韓国への蔑視感情だったからである。
輸出規制をめぐっても、韓国の一部勢力による反日運動をクローズアップし扇情的に取り上げる一方、日本における嫌韓デモの存在は一切報じない。
しかし、政治権力やメディアがこのように反韓感情を煽ってきた一方、両国の民間交流はどんどん盛んになっている。
韓国観光公社のアン・ヨンベ社長は、今月4日に行った会見で、今年1~5月の訪韓日本人観光客は前年同期比約28%増の137万人だったとし、このペースであれば過去最多の353万人に届く可能性もあるとの見通しを示したという(ニュースサイト「聯合ニュース」より)。
安倍政権による選挙対策の輸出規制強化や、その感情的な外交政策に熱狂するネトウヨ、それらの動きをさらに煽るオールドメディアの報道とはまったく無関係に、民間交流の結び付きは密になっている。
安倍政権の煽りに乗って韓国ヘイトを撒き散らすことが日常の風景となり、レイシズムに乗らない人間が攻撃されるようになってしまったこの国において、こうした民間交流の動きまでも潰されるような事態は絶対に避けなければならない。
(編集部)
最終更新:2019.07.14 08:04