その9
「経済を強くした結果、税収も増えました。国の税収過去最高、あのバブル期を超えました」(街頭演説など)
→実態は大企業や富裕層を優遇する一方、消費増税で庶民の生活を圧迫した結果!
財務省が7月2日に発表した2018年度の一般会計決算見込み額では、たしかに税収は過去最高の60兆3564億円となった。しかし、じつはこのうち約4000億円はソフトバンクグループの資金取引によるもので、〈ルール上は同社に還付される見通しで、19年度は同額の減収になる〉(日本経済新聞7月2日付)。しかも、これがなければ過去最高にならなかった可能性があるという。
だが、問題の本質はそういうことではない。捨て置けないのは、安倍政権下では所得税や法人税の国税収入に占める割合とくらべ、消費税の割合は大幅に伸びていることだ。
実際、税収の2013年度から2018年度の項目別伸び率は、所得税が28.1%増、法人税が17.4%増である一方、消費税は2014年の増税もあって63.3%増と圧倒的に伸びている(しんぶん赤旗7月7日付)。そして、2番目に税収が高かった1990年度と2018年度を比較すると、法人税と所得税は1990年度に比べてともに約6兆円、合わせて約12兆円も減少している一方、消費税は約13兆円も増えている。つまり、消費税を増税することによって、法人税と所得税の減少分が補われているような数字になるのだ。
安倍政権は所得が低い人ほど負担が大きくなる消費税を増税する他方で、法人税や所得税で大企業や富裕層を優遇してきた。日本記者クラブの党首討論会で安倍首相は「当然、今年度もそれ(2018年度)を超えてゆく税収になっていきます」と得意気に語っているが、それは「庶民の生活をさらに圧迫するぞ」と宣言しているに等しいものだ。
どうだろう。「強い経済で年金は増やせる」と言い、その根拠に持ち出す数字やデータは一面的に見た恣意的な解釈のものばかり。むしろ、それらのデータが示しているのは、賃金が上がっていない実情や、低賃金で生活が苦しい労働者の増加という問題点ばかりだ。
しかし、安倍首相はこうした問題に取り合わず、「悪夢の民主党政権」というフレーズに象徴されるように、話のすり替えで国民の目を別に向けさせることしか考えていない。そして、「野党は財源の裏打ちのある具体的な議論をしていない」という嘘を平然と街頭演説でがなり立てているのだ。
一方、野党側は今回の参院選で、安倍首相による大企業・富裕層への優遇税制の見直しを争点として掲げている。この点はあらためてお伝えするが、安倍首相がいかにデタラメばかりを吐いているのか、ひとりでも多くの有権者に知っていただけたらと願うばかりだ。
(編集部)
最終更新:2019.07.13 01:49