選挙前にフェイクデータを意図的に流すようになった自民党
いずれにしても、このデータは現時点の情勢が“たまたま流出してしまった”わけでなく、自民党の手練れの選挙対策プロパーが、手の内を見せながら情勢をコントロールしようと意図的に流したとみて間違いないだろう。
しかも、最近の自民党は、こうした情勢調査の結果をそのまま出すのでなく、目的に合わせてデータを改ざんしているのでないかという疑惑もある。大手紙の政治部デスクの話。
「一番ひどかったのは、翁長雄志知事の死去に伴う昨年9月の沖縄県知事選だったね。翁長陣営の後継指名を受けた玉城デニー氏の前評判は高く、自民党系候補の佐喜真淳・前宜野湾市長では歯が立たないことは歴然としていた。実際、11ポイント以上の差で玉城氏が勝っているしね。ところが、知事選告示前の8月に、自民党の情勢調査が流れたんだ。それもほとんど差がなく、接戦と読めるデータだった。戦意喪失に陥りかけた沖縄の自民陣営を諦めさせないための奇策だったんだ」
前出の古参議員秘書によれば、こうした近頃のデータ流出の背景には、党内きっての選挙対策プロパーだったたたき上げの自民党事務局長が引退した影響があるという。
「前任の自民党事務局長時代の情勢調査は、わりあい客観的で、外に出ることもあまりなかったんだが、事務局長が変わる少し前から、政治利用やデータの操作などが露骨に行われるようになった」(前出・古参議員秘書)
そういう意味では、今回の情勢調査もどこまで正確に実態を反映しているかはわからない。ただし、ひとつだけ言えるのは、大規模な情勢調査を行い、そのデータをメディアにリークすることのできる政党は自民党しかいないということだ。すでにこの時点で、自民党が圧倒的に有利なのである。
(編集部)
最終更新:2019.07.01 01:02