6月10日参院決算委員会での安倍首相(参議院インターネット審議中継より)
どこまでも国民を舐めきっている──。金融庁による「年金に頼るな、自分で2000万円貯めておけ」問題について、本日の参院決算委員会で追及がおこなわれたが、麻生太郎・金融担当大臣は「(報告書の)全体を読んでいるわけではない」と言い放ち、「年金100年安心」と言い募ってきた安倍首相は、その嘘を暴露されると逆ギレ、この期に及んで「100年安心だ」と根拠もなく断言したのだ。
安倍首相は問題となっている金融庁の報告書案について、「不正確であり、誤解を与えるものだった」などと答弁したが、実際には「不正確」なものでも「誤解を与えるもの」でもない。
そもそも、麻生金融担当大臣は金融庁の報告書について「単純な試算を示しただけで、(年金だけでは)あたかも赤字だと表現したのは不適切だった」と言っているが、金融庁は平均的な高齢者世帯の月々の生活にかかる費用をあげたうえで「5.5万円赤字」という数字をはじき出しており、「年金だけでは赤字」というのは事実だ。そして、これは金融庁が勝手につくったものでなく、“年金制度の元締め”厚労省が提供したデータだ。
にもかかわらず、「100年安心は嘘だったのか」と追及を受けた安倍首相は、「反論させていただきたい」と大見得を切った。そして、こう断言したのだ。
「マクロ経済スライドによって『100年安心』という、そういう年金制度ができたということなんです」
「マクロ経済スライドも発動されましたから、いわば『100年安心』ということはですね、確保された」
しかし、最初から最後まで安倍首相はその「100年安心」の具体的な根拠を何一つ示せなかった。だらだらと「マクロ経済スライド」の説明をつづけたあげく、「今年度の年金額は0.1%プラス改定になった」と主張。今年の年金額がたった0.1%上がったことで「100年安心」など言えるものではまったくなく、「関係ない!」という当然のヤジが飛んだのだが、安倍首相はこうキレはじめたのだ。
「年金水準をちゃんと説明しなければ、不安を煽るだけの結果になってるんですよ!」
「こうやって説明させないという態度は、おかしいと思いますよ」
「年金っていうのは制度の説明ですから、少しは時間かかるんですよ。スローガンを言い合うことではないんですよ」
「100年安心」というスローガンをさんざん喧伝しておきながら、「年金水準は下がる、2000万円貯めろ」と不安を煽ったのは政府のほうではないか。なのに、言うに事欠いて「不安を煽るな」って……。
しかも、そこからはじめた「不安を煽らない説明」とやらは、前述した何の安心の証明にもならない「今年度の年金額は0.1%増額改定」というアピールの繰り返しと、「みなさんにとって都合が悪い説明になると遮るんですか?」などといういつもの野党批判だったのだ。