安倍首相は「100年安心」というが、41歳以下の老後は3600万円不足説
言っておくが、いま大きな問題になっている焦点のひとつは、「2000万円貯めておけ」の根拠として金融庁が「将来的に年金給付水準が下がる」と示していたことだ。しかも、本サイトで本日お伝えしたように、この報告書を作成していた金融審議会「市場ワーキング・グループ」には厚労省年金局企業年金・個人年金課の吉田一生課長も出席。その場で吉田課長は、こうはっきりと明言している。
「公的年金の給付につきましては、マクロ経済スライドにより、中長期的な水準の調整が見込まれているのはご案内のとおりで、老後の所得確保における私的年金の重要性が増すものと考えております」
「若い人ほど65歳時点になった時点の平均寿命は長くなりますが、公的年金の所得代替率は低下するわけです」
「調整」などという表現を使っているが、これはもちろん「中長期的に年金給付が下がる」という意味だ。実際、吉田課長がこの説明の際に示した厚労省資料のグラフからも、厚労省がいま公表している見通しよりもさらに長期的で大幅な給付削減を想定していることがはっきりとわかる。
つまり、安倍首相は「マクロ経済スライドによって年金は100年安心」と言うが、それは年金制度が保たれるというだけの話で、政府が「国民が安心して老後の生活を送ることができる水準の給付金」を約束しているわけではけっしてないのだ。
しかも、だ。共産党の小池晃議員は、こうしてマクロ経済スライドによって年金はどんどん下がっていくことから、「41歳以下の世代では、夫婦で3600万円不足する計算になる」と指摘。2000万円どころか、3600万円も貯め込まなくてはならないのだ。就職氷河期世代である40歳代の貯蓄ゼロ世帯は17.3%、30代も14.5%にも及んでいるというのに、政府は3600万円もどうやって貯金しろと言うのだろう。
いや、これだけではない。きょうの国会では、安倍政権による「年金給付引き伸ばし」の手口も暴露されたのだ。