松本人志「不良品」発言を批判せずに乗っかった堀潤と古市憲寿
しかし、今回の『ワイドナショー』ではもうひとつ、松本人志の本質が現れた発言があった。それは、この松本の「不良品」発言を受けた、他の出演者とのやりとりのなかで起きた。
あまり批判されていないが、この日の『ワイドナショー』では、松本だけでなく、堀潤、古市憲寿というコメンテーターもひどかった。「不良品」発言に異を唱えるどころか、その発言に乗っかって、「不良品」をどう捜査するかという議論まで展開していたのだ。
松本の「不良品」発言のあと、まず、堀潤がこんな話を始める。
「松本さんが言ったことって超クリティカルなポイントで、アメリカでもテロを未然に防ぐことっていうのは捜査当局も自信をもっているんですよ。前後の文脈が分かるから。でも、なにかしら突発的に起こる、しかも心に負担が強いられている状況で起きるものに関しては事前にリストアップして踏み込んで、でもなにもやっていない状況で未然に逮捕するのかっていうと、それは極めて人権を損害する行いだと。ただ一方でそれを放置していたときに多数の犠牲者が出る。じゃあ、この天秤どうなっているんだというのは、まだねしっかりと本音で議論してないと思うんですよ。でも、じゃあどうすればいいんだっていうのは恐れずに議論していくべき。やっぱり沈黙している社会は犠牲者を生むし、だから、勇気ある議論を(するべき)」
松本による「不良品」発言は誰が聞いても問題発言以外のなにものでもないのだが、堀潤氏はそれを批判するどころか、松本が言うところの「不良品」的な人を「なにもやっていない状況で取り締まる」という議論をすべきといっさいの批判なしで言い出したのだ。
古市憲寿も同様だった。「不良品」発言に何の疑問も挟まず、堀潤の議論を引き取る形で、こう語った。
「犯罪を防止するためにどこまで人権を侵害してもいいのかっていう議論はあり得ると思うんですね。すごい監視社会にして、ちょっとでも犯罪を起こしそうな人に関しては、もうあらかじめ予防的に拘禁できるようにしちゃうのか。それとも、そんなことは絶対無理だからやめておいて、『自由にしましょう。自由である程度の犯罪はしょうがないと思いましょう』って、どっちも難しいじゃないですか、どっちを選ぶにしても」
古市はいつものどっちもどっち論で、一方に与しない風を装っていたが、犯罪多発か予防拘禁か、という二者択一のアジェンダを設定していること自体、犯罪防止のために人権侵害していいという方向に議論を誘導しているとしか思えない。