TOKIOと会食した安倍首相(安倍晋三公式Twitterより)
第二次政権以降、マスコミ上層部やジャーナリストとの会食を繰り返し懐柔している安倍首相だが、昨晩はちょっと意外なメンツと一席を設けた。首相動静によると、10日午後6時32分に、東京・元代々木町のピザ店「エンボカ東京」で食事をしたのだが、その相手があのTOKIOだったのだ。
報道によれば、安倍首相はTOKIOの城島茂、国分太一、松岡昌宏、長瀬智也の4人を行きつけのピザ屋に招き、会食したのだという。
TOKIOといえば、昨年、山口達也が未成年に対する強制わいせつで脱退、芸能界を引退したが、その後はイメージアップのためか、やたら公的な仕事や権力への擦り寄りに躍起になっていた。グループ5人で務める予定だった東京五輪・パラリンピックのスペシャルアンバサダーは降板せずに4人で続行、最近ではリーダーの城島が政府の「農福連携等推進会議」に有識者として参加した。昨年12月28日には4人で官邸を訪れ、自民党が発行する月刊女性誌「りるぶ」で安倍首相と対談。安倍首相のSNSアカウントが、センターの首相をTOKIOメンバーの4人が囲む写真を投稿し、ネットでは「安倍メンバー加入でTOKIOがまた5人に」などと盛り上がっていた。
しかし、まさか食事まで受けてしまうとは……。しかも、当のTOKIOメンバーは記者団の取材に「とても楽しかった」(松岡昌宏)などとまったく悪びれることなく、コメントしている。一体どういう神経をしているのか。
こう批判するとおそらく「TOKIOは、マスコミ上層部やジャーナリストらと違ってアイドルなんだから、食事くらいで目くじらを立てなくても」といった声が上がるだろう。だが、そんなことはまったくない。なにしろ、TOKIOではいま、国分太一がワイドショー『ビビット』(TBS)、城島茂はニュース番組『週刊ニュースリーダー』(テレビ朝日)でMCをつとめており、政治の動きや政界の不祥事なども扱う、れっきとした報道関係者なのだ。
そして、安倍政権はいま、自分たちへの批判封じ込めと改憲国民投票に向けたPRの協力を得るために、そうしたワイドショーや情報番組出演者への取り込みをやたらと図っている。
そんななかで、「会食」というのは、“わたしたちは安倍政権に取り込まれました”“これからは安倍様に全面協力いたします”と宣言しているようなものではないか。
しかも、TOKIOには、ほかの芸能人MCやコメンテーター以上に危険な点がある。それは彼らが、ジャニーズタブーに守られて、不祥事も癒着も失言も偏向も一切批判されないということだ。実際、2017年に松本人志はじめ『ワイドナショー』(フジテレビ)の出演者が安倍首相と焼肉を食べたことが判明して、批判を浴びたが、今回のTOKIOについてはそんな声はまったく上がっていない。
おそらく、これから安倍政権の不祥事が起きたとき、国分が安倍首相を擁護したり、TOKIOが安倍自民党の改憲PRに全面協力したとしても、まったく批判を受けることなく、その発言内容が「当たり前のこと」として垂れ流されてしまうだろう。