NHKも「松村AKS取締役を外部の秋元康が叱責するのはおかしい」
実際、その関係がうかがえるのは、本サイトへの抗議だけではない。今回のNGT問題でも、秋元康のほうがAKSよりもはるかに力が上であることがうかがえることがいくつかあった。
たとえば、そのひとつは、1月14日に行われたAKSの会見で、AKSの松村匠取締役が秋元氏について問われ、こう話したことだ。
「大変憂慮されている。運営は私が進めておりますので、叱責されました。当然です。『しっかりとメンバーとメンバーをケアしていくというのは、運営の責任者の仕事。経験もあるわけだから』と」
秋元氏の他人事ぶりにも呆れるが、「憂慮されている」「叱責されました」という言葉からは、明らかに秋元氏が松村取締役より上の立場にあることがわかる。
この会見の不自然さについては、報道機関も指摘している。NHK新潟放送局が4月9日にNGT問題を特集し、そのなかで、「組織のなかでの役割と責任の所在が明確になっていないというのが、AKSという組織の特徴」として、秋元康の問題に踏み込んだのだ。
まず、アナウンサーが「秋元さんは今回のこの問題についてあまり公での発言が聞こえてきてませんよね、なぜなんでしょうか」と口火を切る。すると、解説役の記者がこう答えた。
「記者会見で松村取締役は、NGTの運営はAKSが全権を握っているとしていて、秋元さんは音楽の提供や企画などクリエイティブな部分を担当していて、組織の運営にはタッチしていないと説明しています。しかし、松村取締役は、秋元氏が今回の問題についてたいへん憂慮しているとしたうえで、秋元氏からメンバーのケアをすることを考えなさいと叱責されたことを明らかにしているんです。
ただですね、組織運営の権限がないとされる秋元氏が経営者を叱責するという事態は会社のガバナンスから見ても、こちらも問題があるんじゃないかと思います」
そして、この問題について「企業のガバナンスに詳しい専門家に話を聞いた」として、若槻良宏弁護士のこんなコメントVTRが放送された。
「記者会見をしている取締役を叱責する別の人物がいるっていうのは、それはガバナンスとして機能しているのかというところは疑問として残るんだろうと思います。本来であれば、監督を受ける立場というのは上司であったり代表取締役であるわけですけれども、そうではない方(秋元氏)から指揮・監督・命令を受けているとなると、まさにガバナンスが問われるんじゃないかと思うんですね。この会社はいったい誰が意思決定をしていて、誰が責任を負っている会社なのか、ということが不明瞭になる」
ようするに、NHKは秋元氏が「運営統括責任者」である松村AKS取締役を「叱責」できる明らかに“上の立場”であり、“事実上の最高責任者”であることを示唆。秋元氏の存在が隠され、表に出てこないことが、組織を歪にしている最大の原因だと指摘したのだ。