少子化問題責任転嫁を批判した蒼井(オフィシャルサイトより)
現在、国会では安倍政権が消費税増税のエクスキューズとして持ち出した「幼児教育無償化法案」の審議が始まっている。だが、この法案の一方で、まったく進んでいないのが、待機児童対策だ。安倍政権は一応、2020年度末までに32万人分の保育の受け皿を整備する「子育て安心プラン」をぶちあげているが、待機児童対策にかけられる予算は、無償化の予算の半分以下。
ようするに、安倍政権はすでに子どもが保育所や幼稚園に通っている家庭へのケアには腰を上げたものの、それ以前に子どもを保育所や幼稚園に入所させられない家庭については、相変わらず放置したままなのである。そのためか、SNSでは、「子育て政策おかしくないですか」「待機児童対策を先行させるべき」という批判の声が広がっている状況だ。
そんななか、現在、双子の子供を妊娠し、出産を間近に控えているタレントの蒼井そらが、安倍政権の少子化対策や子育て政策への姿勢の問題点を指摘する、きわめてまっとうな発言をしている。
本サイトでも以前報じているが(https://lite-ra.com/2018/12/post-4447.html)、かつてAV女優の仕事をしていた蒼井は、昨年12月に妊娠を発表した際、「AV女優が子どもを作るなんて子どもがかわいそう」といった意見に対し、ブログを通じて毅然と反論をしたことがある。
親の職業という子どもに選べないファクターによって、子どもの幸・不幸が決まるような社会のおかしさを蒼井は指摘。また、自分が幸せかどうかを決めるのは他人ではなく〈その子、自身〉であるとし、これから生まれてくる子どもが自分自身を幸せであると思えるような〈環境〉をつくると新たな家庭をつくる決意を綴ったのだ。
そんな蒼井が、最近、発売された「婦人公論」(中央公論新社)2019年4月23日号掲載のインタビューで、妊娠や今後に控える出産、子育てについて語ったのだが、その内容は、個人的な思いだけでなく、さまざまな立場の女性を見渡す視点や社会への問題意識をもった、非常に理知的なものだった。
まず、感心したのは、自分が妊娠している状況で、蒼井があえてこんな発言をしたことだ。
「前にある大臣が「子どもを産まないほうが問題」という発言をしましたね。少子化で大変なのはわかるけれど、国は人ひとりの産む・産まないという人生の大切な選択にもの申すというのはどうなのかな? 身体的・環境的な理由で産めない方もいます」
蒼井の語る「子どもを産まないほうが問題」は、ご存知の通り、2019年2月3日に福岡県で行われた会合で出席した麻生太郎副総理兼財務相が語った「いかにも年寄りが悪いと言う変な野郎がいっぱいいるけど、間違っていますよ。子どもを産まなかったほうが問題なんだから」との暴言のことだ。
蒼井の言う通り麻生財務相の発言は国民を愚弄した度し難いものだ。というのも、子どもが産めない環境をつくっているのは他ならぬ政治家だからだ。