杉田水脈の科研費攻撃に各大学が抗議、名指しされた学者は提訴
しかし、杉田はこれだけわけ知り顔で科研費バッシングをしながら「科研費」には“詳しくない”らしい。
昨年、関西ローカルで放送されたドキュメンタリー『バッシング ~その発信源の背後に何が~』(MBS毎日放送)が杉田の科研費バッシングをとりあげ、番組側は杉田氏に取材を申し入れた。ところが、杉田氏からの返事は「科研費に詳しくないのでインタビューは受けられない」という理由で取材拒否。国会でも質問でもそうなのだが、この人はなにが「反日」なのか明確に説明もせず、気にくわない相手を見つけては「助成金を出すな」とがなりたてている一方、自分の言論(ましてや国会議員である)には一切責任を取らず、頰被りしているだけなのだ。
当然、こうした「学問の自由」を蹂躙する政治からの圧力行為について、大学や学会、学者たちは正面から反論している。昨年5月、法政大は田中優子総長の名義で「自由で闊達な言論・表現空間を創造します」と題した見解を公表。〈昨今、専門的知見にもとづき社会的発言をおこなう本学の研究者たちに対する、検証や根拠の提示のない非難や、恫喝や圧力と受け取れる言動が度重ねて起きています。その中には、冷静に事実と向き合って社会を分析し、根拠にもとづいて対応策を吟味すべき立場にある国会議員による言動も含まれます〉として、〈適切な反証なく圧力によって研究者のデータや言論をねじふせるようなことがあれば、断じてそれを許してはなりません〉などと表明した。
明治大学も昨年6月、土屋恵一郎学長らの連名で声明を出し、田中法政大総長のメッセージを支持。〈一部国会議員や言論人が、学問の自由と言論表現の自由に対して、公然と介入し否定する発言を行っているのは、憲法を無視しているだけではなく、私たちの日常を支えている、民主主義のモラルを公然と否定するもの〉と断じたうえで、大学には権力の暴走を阻み、健全な市民社会を支えるための批判的精神が常に必要とされていると言明。〈私たちが今の日本を誇ることができるのは、この批判的精神を忘れないからであり、決してその時々の権力の内に「日本」があるわけではないのです〉と、「反日」なる不当な攻撃に真っ向から対峙した。
また、前述の牟田和恵・大阪大教授は今月、共同研究者である岡野八代・同志社大教授、伊田久美子・大阪府立大教授、古久保さくら・大阪市立大准教授とともに、杉田氏を相手取って、ツイッター投稿の削除と損害賠償などを求めて京都地裁に提訴。牟田教授らは「ねつ造」「慰安婦問題は女性の人権問題ではない」などという中傷等で社会的地位の低下や精神的苦痛を受けたと訴え、会見でも「影響力を持つ国会議員による学問の自由への介入だ」と主張した。