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年金積立金の資産運用で14兆円の損失か! 株価上げるため国民の年金でリスキーな株投資をはじめた安倍政権の責任

年金積立金の資産運用で14兆円の損失か! 株価上げるため国民の年金でリスキーな株投資をはじめた安倍政権の責任の画像1
首相官邸HPより


「できるかぎり速やかに、簡便な方法で支払う」──。「毎月勤労統計」の不正調査問題を受けて、28日の施政方針演説でそう述べた安倍首相。国にとって重要な基幹統計で不正調査がおこなわれ、約2000万人が雇用保険や労災保険などを560億円以上も過少給付されていたという重大問題に対し、「できるかぎり」という言葉はあまりにも無責任だ。

 だが、今週末にはさらに大きな問題が安倍政権を襲うことになりそうだ。というのも、2月1日に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が発表する予定である公的年金積立金の2018年10~12月期の資産運用成績が、なんと14兆円を超える損失になるのではないかと指摘されているのだ。

 これは、5兆3000億円もの損失を出して問題となった2015年度を軽く超える大損失である。

 この背景には、昨年12月の大幅な日経平均株価の下落がある。クリスマスには1年3カ月ぶりに2万円を割り込み、月間の下落幅もリーマン・ショック直後の2008年10月以来の大きさとなった。しんぶん赤旗1月5日付け記事によれば、こうした動きなどを勘案して独自試算したところ、2018年10~12月期の資産運用は〈14兆円を超えるマイナスという結果〉になったという。また、「週刊ポスト」(小学館)2月1日号でも、資産運用評論家である近藤駿介氏が「評価損、実損を合わせて14兆円を超える損失となる可能性が高い」と述べている。

 実際に今週末に発表される数字が14兆円になるかどうかは不明だが、巨額の損失となる可能性は非常に高いと言っていいだろう。だとしたら、国民が老後のために捻出してきた年金を、安倍政権が一気に溶かしてしまったことになる。

 どうしてこんな危険な事態が起こるのか、あらためて整理しよう。GPIFは国民が積み立てた年金を資産運用し、その金額は130〜160兆円にものぼることから「世界最大の機関投資家」「クジラ」とも呼ばれる。だが、以前は国民の年金を減らしてしまう危険性を考え、株式などリスクのある投資を直接的にはほとんどしていなかった。

 しかし、第二次安倍政権になって株式への投資を全体の半分にまで増やした。ここにはGPIFに大量に株を買わせれば株価が上がり、景気が回復したという印象を与えることができるという安倍政権の計算があったと言われる。ようするに、国民の大事な年金を世論操作と政権維持に利用してきたのだ。

 その結果、前述したように2015年度には約5兆3000億円の運用損を出したのだが、このとき安倍首相は信じがたい行動に出た。例年、GPIFの前年度の運用成績は7月上旬に実施されていたが、2016年は7月10日に参院選があったため、巨額損失問題が投票に影響を及ぼすことを恐れた安倍政権は、公表を選挙後の7月29日まで遅らせるという姑息な手段を講じて事実を隠蔽したのだ。

 しかも、GPIFが5兆円の巨額損失を出しているという情報はすでに今年4月ごろから流れていたため、選挙戦のさなかに急に不安になったのか、安倍首相は自身の公式Facebookにこんな投稿をおこなったのである。

〈「株価下落により、年金積立金に5兆円の損失が発生しており、年金額が減る」といった、選挙目当てのデマが流されています。しかし、年金額が減るなどということは、ありえません〉(2016年6月27日)

 5兆円を超える損失を出していたことは明確な事実であったのに、その公表を遅らせ、その上、明らかな事実を“選挙目当てのデマ”だなどと平気で嘘を強弁してごまかす──。まさに安倍“偽装・隠蔽・改ざん”政権らしいやり口だ。

 しかも、安倍首相は5兆3000億円もの巨額損失を出したあと、2016年度に7兆9363億円、2017年度に10兆810億円の黒字に転じると、逆に成果を猛アピールしはじめた。

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