定年後、安倍首相の「よろしく頼む」で自民党職員に再雇用された田村氏
そもそも、田村氏は2015年にも、SEALDsについて〈民青 過激派 在日 チンピラの連合軍〉とツイートし、「ネトウヨ脳の自民党職員」として話題になった。じつは、その際も田村氏の歌手活動にスポットが当たり、「俺の前では女になれよ」というタイトルだけでも悪寒が走る歌を発表していたことに批判があがっていた。
だが、自民党は田村氏を重用し、集団的自衛権の行使容認をめぐっては田村氏を全国の勉強会に派遣、その正当性を広める重責を担わせてきた。そして、田村氏が昨年1月に65歳の誕生日を迎えて定年退職した際も、その直前に安倍首相はわざわざ官邸で田村氏と面会し、「またよろしく頼む」と挨拶(産経新聞2018年1月12日付)。実際、田村氏は同年8月に再雇用されたのだ。
市民を貶めるデマを平気で垂れ流す人物を重用し、〈憲法なんて ただの道具さ〉などと吐き捨てる「憲法改正ソング」を発表させる──。安倍自民党の反知性ぶり、アホさ加減の底の抜けっぷりが、これでよくわかるというものであろう。
しかし、警戒しなければならないのは、今後、こういった改憲に向けた動きが加速することだ。田村氏の場合、歌を聴けばトンデモ感が滲み出すぎて呆気にとられるだけで終わりだが、昨年、ゆずやRADWIMPSが発表した“愛国心扇動ソング”(詳しくは既報参照→https://lite-ra.com/2018/04/post-3944.html、https://lite-ra.com/2018/06/post-4073.html)のように、人気アーティストによる自覚的、あるいは無自覚な改憲への援護射撃が起こることも十分に考えられる。「たかが歌」とはけっして看過できない問題であることを、ゆめゆめ忘れてはいけない。
(編集部)
最終更新:2019.01.22 11:59