近畿財務局元職員が「何も変わっていない」「職場は真っ暗になってしまう
しかも、だ。改ざん前の決裁文書には、籠池泰典前理事長が安倍昭恵氏と撮った写真を見せていたことが書き込まれていた。今月19日付の朝日新聞では、実名による証言をおこなった近畿財務局で国有財産の管理に携わった元職員4人は、これが不当な値引きにいたる端緒ではないかと見ている。
「公表された記録を読むと、財務局は当初、学園側からの要求もきちっと断っているのに、このころを境に押し込まれるようになったように見える。主客が逆転し、籠池さんの方が主人公というか、強くなってしまったようだ」(喜多徹信氏)
「この写真が出てくる事態になった時点で、本省と財務局は綿密に連絡を取り合って、学園の要求を蹴ってしまうのか、それとも最後までやり通すのかを決断したのではないか」(伊藤邦夫氏)
“総理夫人案件”として国有地が約8億円も値引きされ、疑惑が報じられると公文書を改ざんして問題を隠蔽する。その結果、ひとりの職員が死に追い込まれた──つまり、近畿財務局職員の自殺は、財務省だけの問題ではけっしてないのだ。
森友問題にかんして実名で証言をおこなっている理由について、元職員はこう話している。
「公務員は馬鹿正直に文書を大切にする。それなのに国会で財務省は「(学園との交渉記録が)ない」などと言い切って驚いた。大きな犠牲も出ているのに、だれもまともに責任を取っていない。このままではいけないと思った」(田中朋芳氏)
「公文書の改ざんが発覚しても、上の人は知らん顔を決め込んで何も変わっていないように見える。この問題をないことにしてしまったら職場が真っ暗になってしまうんじゃないかと思った」(安田滋氏)
“ブラック”な組織を変え、健全な職場や労働環境をつくっていくには、実態の告発や外部からの指摘が重要になってくる。不名誉にも一般市民の投票で「ブラック企業大賞」に選ばれた財務省の問題は、まだ膿が出きった状態ではない。このままフェードアウトさせるわけにはいかない問題だ。
(編集部)
最終更新:2018.12.24 07:55