万博やオリンピックで潤うのは、権力者と一部の利権者だけ
事実、大阪万博も早くもその杜撰さを指摘され始めている。そのひとつが、想定来場者の数だ。大阪府は万博の想定入場者数を2800万人と見込んでいるが、これは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの年間来場者数(1460万人)をはるかに上回り、東京ディズニーリゾートの年間来場者数(3010万人)にも近い数字だ。大阪はこの数字を185日間しかない万博期間で達成できるとしている。2005年の「愛・地球博」は2204万人の来場者があったが、それから20年が経ち、ただでさえ万博は凋落傾向にあるのに、「愛・地球博」以上の成果を得られるとする試算に疑問の声が起きている(2018年11月29日付ニュースサイト「日刊ゲンダイ」)。
これは氷山の一角でしかなく、今後、開催時期が近づいてくれば、そういった杜撰さはどんどん浮き彫りになってくるだろう。
大規模イベント誘致への忌避感は国民の間で確実に広まりつつある。
たとえば、札幌市は現在、2030年の冬季オリンピック誘致を続けているが、ここに来て初めて、札幌市民を対象に行った世論調査で「反対」(53%)が「賛成」(46%)を上回った(2018年10月31日付北海道新聞)。
「経済活性」の甘言をお題目にして大規模イベントを呼び込んだところで、結局は、権力者と癒着した一部の利権をもつ人々以外には、経済効果などないことに皆が気づき始めたのである。
自分たちの利益のために不要な国際イベントを誘致し、血税を貪って金儲けしている人間は誰か──しっかりと見届けておいたほうがいいだろう。
(編集部)
最終更新:2018.12.04 12:19