「貴乃花応援会」公式ホームページより
貴乃花はほんとうに参院選に出馬するのだろうか? 貴乃花と相撲協会との対立劇は、いつのまにか貴乃花の政界進出問題に話題の中心がうつってしまった。原因はもちろん、貴乃花が相撲協会正式退職からわずか3日後の4日に突然議員会館を訪問、自民党の馳浩衆院議員と面会したことだった。これに、マスコミが反応し、「自民党から参院選出馬」「50万票は固く100万票にも手が届く」などと、報道を始めたのだ。
貴乃花本人は、景子夫人とともに「週刊文春」(文藝春秋)に登場して、政界出馬を否定。11日夕方訪れた福岡での後援会会合後も「完全に出ません」とコメントしていたが、これを額面通り受けとることはとてもできないだろう。
というのも、貴乃花の参院出馬説は、馳議員との面会以前、9月25日の引退会見直後から、政界で根強くささやかれており、貴乃花と政界、とりわけ自民党との接点がいくつも浮かび上がっていたからだ。
まず、そのひとつが、貴乃花の代理人を務め、引退会見の場所も提供した法律事務所の存在だ。
これは「TMI総合法律事務所」という事務所で、共謀罪審議のときの自民党法務部会長として取りまとめ役だった古川俊治参院議員が所属するなど、自民党、政界と関係が深いことで知られている。
また、同事務所には「森友問題の真のキーマン」といわれている元財務官僚も天下りしている。森友学園への国有地売却時の理財局長で、最後まで疑惑の核心に口をつぐみ続けたあの迫田英典元国税庁長官が、今年1月から同事務所の顧問におさまっているのだ。
さらに、この法律事務所とは別に、元東京地検特捜部長の宗像紀夫氏が貴乃花と安倍自民党の接点になっているのではないかという話も聞こえてきた。宗像氏といえば、貴乃花親方が日本相撲協会の危機管理部長をつとめていたとき、外部委員会である危機管理委員会委員長をつとめており、以来「貴乃花親方の応援団」として有名な人物。
実際、昨年、日馬富士の暴行事件から始まった一連の騒動渦中で、度々テレビや雑誌に登場し、貴乃花擁護の論陣を張ってきた。今年はじめの理事選の際は、あの安倍応援団雑誌である「正論」(産経新聞社)や「WiLL」(ワック)でも、貴乃花擁護をぶっていた。
だが、この宗像氏、一方では、安倍政権で内閣参与を務めており、安倍首相とも定期的に面会している。“元東京地検特捜部長”という肩書きを盾に、甘利明・元経済再生相の口利き疑惑や森友・加計疑惑などでも、メディアで政権擁護してきた、典型的な安倍応援団なのだ。
さらに、安倍首相の出身派閥である清和会が実は、今回の騒動以前から、貴乃花にアプローチしていたという事実も浮かび上がってきた。全国紙政治部記者がこう証言する。
「今回、貴乃花と面会した馳議員も清和会所属ですが、もともと清和会は親分の森喜朗元首相が文教族で、スポーツ界との関係が深いことから、スポーツ界の引退した大物には片っ端から声をかけていた。貴乃花についても、相撲協会とうまくいっていないことがわかって以降、清和会は何度も参院選出馬をアプローチしています。そのことは私自身、清和会幹部からはっきり聞きましたから、まちがいないでしょう」