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柴山昌彦文科相「教育勅語」復活は安倍政権の総意! 前川元次官も証言していた「教育勅語を使えるようにしろ」の圧力

安倍政権下で復活をとげた教育勅語、学校教育への使用を解禁

 しかし、戦後も教育勅語は、明治憲法の復元や皇室の権復を狙う「右翼」(国家主義者や民族主義者ら狭義の「右翼」のことであって、いわゆる「戦後保守」のことではない)や神道関係者、宗教者らを中心に脈々と引き継がれながら、今日に至った。一方で、戦後日本政治の文脈において、この教育勅語をもっとも国粋主義的な支配構造の再現に利用せんとし、表舞台に引きずり出したのは、やはり、安倍政権をおいてないだろう。

 そもそも、戦後の政権は学校教育における教育勅語の使用を否定してきた。それが様変わりしたのが、第二次安倍政権の2014年4月8日、参院文教科学委員会でのことだ。当時、みんなの党所属の参院議員だった和田政宗がこう質問した。

「私は、教育勅語について、学校、教育現場で活用すればとても良い道徳教育になると思いますが、米国占領下の昭和二十三年に国会で排除決議や失効確認決議がなされています。こうした決議は関係なく、副読本や学校現場で活用できると考えますが、その見解でよろしいでしょうか」

 これに対し、当時の文科省・初等中等教育局長は「教育勅語を我が国の教育の唯一の根本理念であるとするような指導を行うことは不適切である」と従来の見解を維持しながらも、それとは矛盾するこんな答弁を続けた。

「教育勅語の中には今日でも通用するような内容も含まれておりまして、これらの点に着目して学校で活用するということは考えられるというふうに考えております」

 それ以降、国会では教育勅語について「今日でも通用するような普遍的な内容も含まれている」「内容に着目して適切な配慮のもとに活用していくことは差し支えない」との政府側答弁が踏襲されていき、前述のとおり、昨年3月には「憲法や教育基本法に反しないような形で教材として用いることまでは否定されない」との答弁書が閣議決定されたわけだが、実は、この2014年4月8日の答弁をした初等中等教育長というのは、あの前川喜平・元文科事務次官だった。

 周知の通り、前川氏は現在、さまざまなメディアで、教育勅語を学校教育で使用することに極めて否定的な見解を示している。たとえば、本サイトでの室井佑月との対談のなかでも、教育勅語に関連してこのように述べていた。

「親学は“家族が社会の単位”という考え方です。個人であることよりも家族の一員、一族の一員であることが大事だという。この家族主義的考え方は、じつは、戦前の国体思想でもある。戦前の教育勅語で示されている考え方です。そして、そのベースには家父長制の家制度があった。そこでは親孝行こそ最大の美徳になる。家族なんだからという理屈ですべてを吸収してしまう。そして日本国は、大きな一つの家族だ。その本家の本家の総本家が天皇家で、辿れば天照大御神。すべての国民は天照大御神の子孫であり、天皇家の分家の分家の分家だ、みたいなね。こうして『孝』と『忠』が一本につながる。こういう家族国家観に基づく教育が安倍さんが進めたい道徳教育なんだろうと思います」

 そんな前川氏が、どうして、条件付きであったとしても教育勅語の学校教育での活用を認めるような国会答弁をしたのか。

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