回答者になぜこんな偏りがあるのか。背景には調査方法の問題が
しかし、だとしたら、問題はなぜ、「国民生活に関する世論調査」では回答者がこんな風に偏ってしまっているのか、だ。一般的に、世論調査は調査方法や調査数、回答率、あるいは設問の表現によって結果が大きく異なることで知られるが、ポイントは「国民生活に関する世論調査」が個別面接聴取法を採用していることだ。
調査員が訪問・聴取するこの方法は“満足度”などの質問においてバイアスが生じることで知られる。実際、NHKが2008年に行った調査方法の違いに関する実験調査によれば、「生活全体についての満足感」について「満足している」との回答が面接法では27.6%であったのに対し、対象者が自分で記入する配布回収法(18.4%)や郵送法(19.8%)ではかなり低くなった。
これら調査方法等によるバイアスを指摘している『世論調査とは何だろうか』(岩波新書)の著者・岩本裕(元NHK放送文化研究所世論調査部副部長)は、同書において〈調査員という他人に尋ねられたとき、本音を答えるよりも、「こう答えた方が他の人には格好がつくだろう」という答えを選びがちだということです〉〈突然訪ねてきた赤の他人に「生活に満足していない」と答えるのは、なかなか難しいものです。それが結果に表れているのでしょう〉と分析している。
実は、意外な人物も同様の指摘をしている。それは俳優の佐藤健だ。