憲法審査会をすっとばし国会に改憲案を提出、一気に発議へ、のもくろみ
おそらく、安倍首相は今回の総裁選を圧勝すれば、「党内議論はまとまった」として、党議決定のない現在の改憲案を正式な自民党案として提出するだろう。そして、国会でも憲法審査会での議論をすっとばして、いきなり国会に提出する可能性がある。
安倍首相が思い描いていたスケジュールでは、先の通常国会において憲法審査会で実質的な議論をおこない、総裁選での3選を経て、臨時国会での改憲発議、来年春までに国民投票の実施となるはずだった。それが、森友文書改ざん問題の噴出と支持率下落で改憲議論どころではなくなった。安倍首相は「憲法審査会で議論を深め、前に進めていくことを期待する」などと殊勝なことを言ってきたが、その憲法審査会で議論がまったく進まなかったため、スケジュールに狂いが出てきた。
そこで出てきたのが、憲法審査会での議論をすっとばす“強行論”だ。実際、通常国会閉会直前には、首相周辺から「憲法審で議論がまとまらない場合は、改憲案を独自に(国会に)提出してしまえばいい」という暴論が出始めたという(朝日新聞7月22日付)。
おそらく、安倍首相は、この意見に乗っかって、自民党に改憲案を出させ、そのまま発議までもっていこうとしているのではないか。
そして、総裁選はそのための絶好のPRの場になる。国会審議の報道には尻込みするメディアも総裁選に食いつき、安倍応援団メディアは“安倍優勢”ムードを盛り上げている。そんななかで改憲を争点にしてアピールすれば、改憲への世論形成にも一役買う、というわけだ。
私利私欲のために改憲を押し進め、総裁選にまで利用し尽くそうという軽薄さ、愚劣さ。この国はこんな男のいいなりになって、改憲までやってしまうのだろうか。
(編集部)
最終更新:2018.08.16 12:04