安倍首相の「抗議する理由ない」が加計学園のコメントの嘘を証明した
だが、国民をもっと仰天させたのは、加計学園問題のほうだ。加計学園は先週土曜、〈実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出し、県と市に誤った情報を与えてしまった〉というコメントを公表し、安倍首相との面談を“担当者のでっち上げ、つくり話だった”と言い出した。
片や安倍首相は、これまでも国会答弁で「加計さんとは政治家になるずっと前から、学生時代からの友人。しかし、彼が私に対して私の地位や立場を利用して何かを成し遂げようとしたことは、ただの一度もありません」と美しい友情を語ってきた。なのに、今回の加計学園のコメントによると、愛媛県や今治市を騙すという詐欺行為に安倍首相は名前を利用されていたことになる。普通に考えれば「信じていたのに!」と安倍首相は憤慨して当然で、即刻、抗議すべきだろう。
しかし、安倍首相はすまし顔で、こう答弁したのである。
「抗議をすることについては、そもそもの理由がない」
「怒るとか怒らないとかということではない」
「私と加計さんが会ったからということで認可したわけではない。会ったか会わなかったかはまったく関わりがない」
籠池泰典・前理事長に対しては「詐欺をはたらく人物」とまでテレビで言い放ち、自民党側は「首相に対する侮辱」を理由に証人喚問を実施したのに、加計孝太郎理事長には「抗議する理由がない」とは……。
共産党の小池晃参院議員から、「総理はカンカンに怒らなきゃいけないはずなんです。利用されたんですから。それなのに平然としている」とツッコまれ、安倍首相は「私はつねに平然としています」とドヤ顔で言い張っていたが、いつも野党の追及に癇癪を起こしている人間が何を言っているのか。
安倍首相が首相面談をでっち上げられても加計にだけ「平然」としているのは、それが自分を守るためについた嘘だということがわかっているからだ。
本サイトが昨日の記事で指摘したように(https://lite-ra.com/2018/05/post-4034.html)、安倍首相が2015年2月25日に加計理事長に対して「獣医大学いいね」と言ったことを起点にして柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と加計学園の協議がスタートしていることを考えれば、今回の加計学園によるコメントがあからさまな嘘であることは明々白々。そして、いまごろになって加計側がそんなことを主張しはじめたのは、安倍官邸から依頼があり、きょうの集中審議に合わせるかたちで出したとしかタイミング的にも考えられない。すべては安倍首相を守るために、加計学園は担当者を人身御供に差し出したのである。逆に言えば、安倍首相は「抗議する理由がない」と述べたことによって、加計のコメントが嘘であることを証明したようなものなのだ。
「総理のご意向」文書からはじまって、湯水のように次から次へと湧いて出てくる「安倍案件」を裏付ける物証。それを否定するために、安倍首相がまた嘘を重ねる。そんなことが昨年からずっとつづいているわけだが、立憲民主党の福山哲郎参院議員は「総理の反論は全部『言ってません』『やってません』『関わっていません』で、まったく反証になっていない」と喝破した。まったくその通りの指摘だが、ここで安倍首相は、耳を疑うような言葉を発した。
「これはいま、(福山)委員がつくられたストーリーなのだろうと」