破綻した嘘のストーリーを壊れたレコーダーのようにリピートし続ける安倍首相
証拠をもって追及を受けているのに、何の証拠も出さない安倍首相がよく言えたものだ。だいたい、安倍自民党は「モリカケは朝日新聞の捏造」なる陰謀論のトンデモストーリーを応援団に展開させ、その書籍を大量購入して配布していたほど。フェイクのストーリーをつくってきたのは、安倍首相のほうなのだ。
しかも、その安倍首相がきょう展開した「ストーリー」は、「(愛媛県文書は)伝聞の伝聞だ」という攻撃と、あとは相も変わらず「議論の経緯は公開をされており、プロセスについては一点の曇りもないと八田座長は述べておられる」「私から指示をされたと言う人は前川前次官を含めて誰もいないということは明らかになっている」というもの。そう、とっくの昔に嘘だと反証されている主張をいまだにがなりたて、正当性の根拠として強弁したのである。
また、安倍首相はきょうの答弁で「獣医学部新設は柳瀬首相秘書官が加計学園関係者と面会する1年前の7月の時点で新潟市から提案があって、これをきっかけに民間有識者が検討を重ねてきた」とも言い出したが、これは「だから何?」としか言いようがない。というよりも、その新潟市の提案に危機感を抱いたことで、加計理事長と安倍首相の面談実施に動き出したことが愛媛県新文書には記されている。新潟市の提案は、むしろ加計の原動力になったものなのだ。
何ひとつ事実をあきらかにせず、ただ破綻した嘘のストーリーを壊れたレコーダーのようにリピートしつづける──。いや、それ以上に驚嘆したのは、じつは安倍首相は、何が問題であるか、まったく理解していないということがわかったことだ。
「膿を出し切る」「責任を果たす」などともっともらしく語ってきた安倍首相に対して、野党から「加計問題における膿とは何なんですか?」「総理が言う反省すべき点とは何ですか?」と言う質問が投げかけられたが、安倍首相は、こう答えたのだ。
「膿を出すという発言をしたのは、まさに、公文書の問題にかかわる問題について、私はそう述べた」
「(反省点とは)妻が名誉校長を引き受けたこと」
「膿」というのは公文書を改ざんした財務省の問題で、反省しなければならないのは「昭恵氏が名誉校長を引き受けたこと」って……。自分には何の問題も反省点もないってことか。
いや、実際、安倍首相はいまだに「自分は何も悪くない!」と思っているのだろう。それどころか、本音では「これぐらいでガタガタうるさいこと言うな」とさえ考えているはずだ。ただしその本音は表立っては口にできないため、「丁寧に説明する」などと言いながら、ひとつも具体的な説明をせず、嘘をつきつづけるのである。そこには、とにかく嘘だろうがごまかしだろうが、疑惑を否定しつづければ、「そのうちみんな飽きて忘れるだろう」という計算もあるはずだ。