産経新聞のウェブ版「産経ニュース」(5月14日)より
24日に告示された新潟県知事選挙。無所属新人3人が立候補したが、自民・公明が支援する元海上保安庁次長の花角英世氏と、立憲民主党や共産党など5野党が推薦する新潟県議会議員の池田千賀子氏による、事実上の与野党一騎討ちとなっている。そんななか、少し前に、“安倍政権の機関紙”こと産経新聞が、今回の事実上の与野党対決選挙を見越したトンデモない“フェイク記事”を出していたのをご存知だろうか。
それは14日付の「菊田議員側に指名停止の業者から120万円」なる記事だ。菊田議員とは新潟4区選出の菊田真紀子衆院議員(無所属)のこと。元民進党の菊田議員は、昨年の衆院選で野党統一候補として自民党の金子恵美前衆院議員と対決。“女の仁義なき戦い”などとテレビで大きく取り上げられたのも記憶に新しい。
産経は〈(菊田議員が)民主、民進両党所属時に代表を務めていた政党支部が平成23~27年にかけて、新潟県から建設工事請負業者の指名停止措置を受けた県内の建設業者から計120万円の献金を受け取っていたことが13日、分かった〉と報じた。菊田議員の事務所は産経の取材に対し、「当該企業が指名停止を受けていることを認識していなかった。今後はこのような企業からの寄付を受けることがないように、点検を徹底したい」とコメントしたという。
菊田議員は米山隆一前知事が辞任した4月、野党統一候補として新潟知事選への出馬に向け調整が進められていた。菊田議員本人は固辞したものの、5月8日に池田千賀子候補とともに立候補表明会見に臨み、池田候補を野党統一候補とする流れを作り出した新潟県知事選のキーマンだ。問題の産経記事は、その菊田議員が池田候補とともに会見を行った少し後に出たもので、明らかに県知事選のタイミングを狙ったものであることは疑いない。
この産経報道を受けてTwitterでは、またぞろ安倍応援団のネット右翼たちが、〈汚い金にまみれて「ズブズブおばさん」露呈〉などと騒ぎ立てるとともに、〈産経新聞しか報道しない。マスコミ各社の「忖度の自由」〉などと他社の後追い報道がないことにバッシングを展開している。
だが、ちょっと待ってほしい。実際にはこの産経の報道は、与党を利するためだけに作られた“インチキ記事”しか言いようがないシロモノなのである。