世界中を旅してきた宍戸開が語っていた「世界の貧困」
宍戸開といえば、前述の通り、俳優や『食いしん坊!万才』レポーターなどの姿が印象的だが、その一方で、『地球サポーター』(テレビ東京)のレポーターとして、東ティモール、タンザニア、中国、インドネシア、カメルーン、ベトナムなどに赴き、現地のNGOの活動を取材するなどしてきた。
また、宍戸は「五影開」名義で写真家としても活動しており、世界中を旅したなかで目の当たりにした光景をカメラにおさめ、作品にしている。そういった作風として、ヒマラヤで撮られた作品を収録した写真集『もっと高く、もっと遠くへ 宍戸開の世界 Nepal 1997』(近代映画社)などがある。
宍戸は世界中を旅しているなかで色々なことを感じてきたという。「婦人公論」(中央公論新社)2010年6月22日では、旅を通じて見てきたものについてこのように語っている。
「外国に行くたびに思うのは、日本は恵まれすぎているということ。平和が当たり前で、かえって閉塞感が漂っている。外国の人たちは、生きることにもっと貪欲ですよ。僕はそこで実感したものを、日本に戻ってきて誰かに伝えたい。名前が「開」なので、自分を開いて、橋渡しをする。そういう役目だと思います」
旅をするなかで感じた「日本に戻ってきて誰かに伝えたい」という思いを具現化させるもの、そのための武器がカメラだった。「婦人公論」08年3月7日号に掲載された黒柳徹子との対談ではこのように語っている。
「世界には大変な状態に置かれている人たちがゴマンといる。手助けになることが何かないかと考えた時に、「そうだ、俺には写真がある」と。微力だけれど、何もしないよりはマシだろうと思いまして」