稲田朋美オフィシャルHPより
安倍政権が自衛隊のイラク派兵部隊の日報を隠蔽していた問題。当初、政府は日報について「存在しない」としてきたが、実際には陸上自衛隊や航空自衛隊が保管していた。昨年3月にはその存在が確認されていたのに、1年以上も国民から隠し続けてきた。
自衛隊では、昨年、南スーダンPKOをめぐる日報の隠蔽が発覚して大きな問題になったが、懲りもせずまったく同じ問題が噴きあがったのだ。
小野寺五典防衛相は「まったく許せる対応ではない。文民統制にかかわりかねない重大な問題だ」などと発言しているが、何を評論家みたいなことを言っているのか。文民統制が機能していないとしたら、それは防衛省の長たる小野寺の責任だろう。
しかも、小野寺防衛相はこの3月31日に報告を受けたなどと言っているが、実は1月12日に陸上幕僚監部に日報の存在が報告されていたことがわかっている。丸々2カ月も報告が遅れるというのはあり得ない。タイミングを考えると、政権と防衛省の間で、森友文書改ざん問題で国会が紛糾されるのを避け、予算成立を待って発表するというシナリオを描いていたのではないのか。
にもかかわらず、まるで政治の力で改ざんを突き止めたというようなポーズで、逆ギレし、“自衛隊制服組の悪事”と印象付けるのだから、姑息としか言いようがない。
だが、この小野寺防衛相以上に呆れるのが、安倍首相と稲田朋美元防衛相だ。まず安倍首相は「自衛隊の最高指揮官として防衛相に真相解明、再発防止をしっかりやるよう指示した」などと述べているというが、その響きは完全に他人事。
さらに稲田元防衛相にいたっては、産経新聞の取材に対し「驚きとともに、怒りを禁じ得ない」「上がってきた報告を信じて国会で答弁してきたが、一体なにを信じて答弁していいのか。こんなでたらめなことがあってよいのか」とのたまっている。いったい、どういう思考回路をしたらこんな被害者ヅラができるのだろう。
そもそも、今回のイラク日報隠蔽問題は、稲田元防衛相の答弁に端を発している。昨年2月、南スーダンPKO日報隠蔽問題をめぐり、国会が紛糾するなか、稲田防衛相は野党からイラク派兵時の日報についても質問され、「確認したが発見されなかった」「残っていないことを確認した」と断言していた。