イラク日報の隠蔽は稲田防衛相の否定答弁を正当化するために行われた
情報公開請求で闇をこじ開けたジャーナリスト・布施祐仁氏は、南スーダンも現地取材している三浦英之・元朝日新聞元アフリカ特派員との共著『日報隠蔽』(集英社)のなかで、PKO日報問題についてこう記している。
〈陸自内部からと思われる情報流出が続いたのはシビリアンコントロールの観点から問題ではあったが、今回の事件は、制服組が暴走したというよりはシビリアン(文民)である背広組が官邸を守ろうとするがあまり迷走したというのが本質だと思う。〉
いずれにしても、南スーダンPKO日報の隠蔽もまた、“駆け付け警護”を強行するために官邸の意向をくんで行われたことは間違いない。そして、この南スーダン日報隠蔽問題の追及を受ける過程で、さらに今回のイラク派遣部隊の日報隠蔽が起きたのだ。
イラク日報のほうは、さすがに安倍首相や稲田元防衛相が直接、指示していたということはないだろうが、しかし、少なくとも「安倍政権を守るための忖度」で改ざんが行われたことは間違いない。冒頭で指摘した隠蔽に至った経緯の不自然さに加え、あの状況では、防衛省や自衛隊が隠蔽を図ることに何かメリットがあるとは思えないからだ。
そう考えると、防衛省で起きた2つの文書隠蔽は森友改ざん文書問題と根っこがまったく同じと言っていいだろう。安倍首相や内閣の暴走を正当化するため、情報ねじまげと隠蔽が行われ、不正が発覚したとたん、その安倍首相や担当大臣はすべて官僚に責任を押し付ける。まさに財務省で起きた事態が防衛省でも起きたということだ。
いや、財務省・防衛省だけではない。安倍政治が続くかぎり同じことがあらゆる省庁で何度でも起こりうるだろう。そして、いつのまにか、政府が文書を改ざん・隠蔽することに国民のほうが慣らされ、問題にもならなくなっていく。
これはけっしてオーバーな話ではない。民主主義が完全に崩壊してしまう前に、なんとしても安倍政権を止める必要がある。
(編集部)
最終更新:2018.04.08 11:19