疑惑の山口氏の出世作(「総理」幻冬舎)/pre>
経産省所管のNEDO(国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」)から助成金を詐取した容疑で東京地検特捜部に逮捕されたスパコンベンチャー起業「ペジーコンピューティング」(以下ペジー社)の事件。同社の齊藤元章社長と官邸御用ジャーナリストで準強姦疑惑の渦中にある山口敬之氏 の関係をめぐって新たな事実が明らかになった。
すでに山口氏が生活の拠点にしていた永田町ザ・キャピトルホテル東急内の高級事務所が齊藤社長から提供されていたこと、そして両者が一緒に財団法人を設立していたことが報じられていたが、この財団の正体が判明したのだ。
齋藤社長と山口氏が設立したのは、一般財団法人「日本シンギュラリティ財団」。法人登記をみると、設立年月日は昨年の3月9日で。山口氏が代表理事、齊藤社長が理事に名を連ねていた。
しかし、昨年3月といえば、山口氏がTBSを退社する同年5月よりも前のこと。山口氏はTBS在職中の時点ですでに財団の代表に就任していたことになる。
だが、さらに注目すべきは、この財団の中身だ。日本シンギュラリティ財団は検索しても公式HPすらないが、法人登記の設立目的には、シンギュラリティに関する研究、人材育成など、シンギュラリティという言葉がズラリと並ぶ。「シンギュラリティ」とは、人工知能の発達が急激な技術の成長を引き起こし、人間文明に計り知れない変化をもたらすという仮説のこと。つまり、人工知能による社会の変化、新しいビジネスを研究・支援する財団ということらしい。
ところが、この財団の実体は、とても人工知能関連の研究団体とは思えないものだった。まず、謄本に記載されている財団の所在地は、恵比寿の高級住宅地の一角で、普通の住宅としか思えない一戸建て。そして、今週発売の『週刊ポスト』(小学館)12月22日号によると、同財団を直撃したところ、なんと山口氏の母親が応対に出たのだという。
〈財団法人の住所を訪れると、山口氏の母親を名乗る女性が、「ここは(山口氏の)実家です。財団? 私は何も知らないんです」と話すだけだった〉(同誌記事より)
そう、この財団は山口氏の実家だったのだ。しかも、財団の評議員には弁護士だという山口氏の父親と思われる人物が名前を連ねていた。これは、よくあるペーパー団体の典型的なパターンではないか。