首相官邸HPより
「妻は騙されてしまったのだろう」
昨晩、『報道ステーション』(テレビ朝日)で最後のテレビ党首討論が放送されたが、そこで安倍首相がついに、こんなことを言い出した。森友学園問題について、昭恵夫人は籠池泰典前理事長に騙されたと主張したのだ。
発言までの流れはこうだ。森友問題について問われた安倍首相は“籠池氏に会ったこともないし、妻も直接頼んだりしていない”と主張すると、いつもの如く「籠池さん自体が詐欺で逮捕され、起訴されました」と言い、疑惑の本丸である国有地値引き問題とはまったく関係のない補助金不正受給の話をもち出した。そして、こう言い放ったのだ。
「こういう詐欺をはたらく人物のつくった学校でですね、妻が名誉校長を引き受けたことは、やっぱり問題があったと。こういう人だから騙されてしまったのだろうと」
そもそも国の補助金不正受給に詐欺罪を適用することには法律関係者からも疑問の声があがっているが、安倍首相がここまで「詐欺、詐欺」と繰り返すとそのための「詐欺罪」だったのかと勘繰りたくなる。だいたい、騙されたも何も、安倍首相自身が籠池氏の教育を褒め、“同じ志をもった人”と言っていたではないか。2月17日の衆院予算委員会での安倍首相の発言はこうだ。
「うちの妻が名誉校長になっていることは承知をしておりますし、妻からこの森友学園の先生の教育に対する熱意は素晴らしいという話を聞いております」
「いわば私の考え方に非常に共鳴している方」
さらに、2015年9月におこなわれた塚本幼稚園での講演で、昭恵夫人ははっきりこう話していた。
「こちら(森友学園)の教育方針はたいへん主人も素晴らしいというふうに思っていて」
「時間があればぜひこちらにも寄らせていただきたいと言っていた」
つまり、安倍首相自身も、教育勅語を園児に暗唱させるなどの籠池氏の軍国教育を称賛していた。そうした経緯もあって、昭恵夫人はこの講演会で「籠池園長、副園長の本当に熱い熱い思いを何度も聞かせていただいて、この瑞穂の國記念小學院で何か私もお役に立てればいいなと思って」と話し、名誉校長に就任したのだ。自分たちから惚れ込んで肩入れしていたのに、これを「騙された」と言うのか。
ここまでわかりやすく自己保身のために人を裏切り手のひら返しをすること自体が人として信用ならないが、その上、安倍首相はお得意の「嘘」も連発した。