葵つかさを追い込む要因となったマスコミのジャニーズタブー
それにしてもなぜ、葵を「性奴隷」のように扱った松本が売名に利用された被害者扱いで、逆に、松本によるキチク行為でヤリ捨てられた本当の意味の被害者でもある葵が責め立てられるという理不尽な事態が起こるのか。
その大きな要因のひとつが、ジャニーズ事務所に怯え真実を報じない芸能マスコミだ。「沈黙」という態度でジャニーズ事務所側にマスコミが加担したことにより、葵は二次被害ともいえる炎上騒動に巻き込まれることになったのだ。
周知の通り、ジャニーズ事務所のタレントがからんだスキャンダルをメディアがいっさい触れない状況が続いている。たとえば昨年だけでも、Hey! Say! JUMP中島裕翔の泥酔痴漢事件、V6岡田准一と宮崎あおいの略奪不倫同棲、Hey! Say! JUMP伊野尾慧の女子アナ二股交際、同じくHey! Say! JUMPの複数メンバーに持ち上がった乱交パーティ疑惑……数々のジャニーズスキャンダルが週刊誌で報じられたが、テレビやスポーツ紙は一切後追いすることなく、すべてを葬り去ってしまった。とくに、中島裕翔の件に関しては被害届こそ出されなかったものの痴漢という犯罪行為で、ジャニーズ事務所もその事実を認めているにも関わらず、何のお咎めもなく、主演したドラマ『HOPE~期待ゼロの新入社員~』(フジテレビ)は何事もなかったかのように放送された。
ちなみに、「週刊文春」17年5月4日・11日号では、葵つかさが文春記者からの直撃を受け、松本とのその後について口を開いている。彼女はこの関係について心のなかできっぱりと精算しているようで「もう連絡しないようにしてるんで」とシャットアウト。そして、「(松本とは)別れたということですか?」という記者の質問に「まあ、そうですね」と返していた。
話を『ナラタージュ』に戻すと、松本は「ぴあ Movie Special 2017 Autumn」に掲載されたインタビューで、完成した『ナラタージュ』を観た感想をこのように語っている。
「死生観とまで言ってしまうと、大袈裟に聞こえるかもしれないけど……。泉が葉山のことを回想しながらも時が進んでいく物語を見ながら、今まで会ってきた人、会えなくなった人のことを思ったり、自分の人生の中でこれだけ人の心の残る存在になれることってどれだけあったんだろうか、これから先あるのだろうか、みたいなことを考えたんです」
随分と格好良いことを言っているが、葵つかさの名前を出さないまでも「二股する男性の気持ちはわかりますか?」「二股する男性の役づくりにはご自身の実体験は活かされましたか?」くらい突っ込むライターはいなかったのだろうか? ジャニーズタブーに縮み上がったいまの芸能メディアでは無理か……。
(林グンマ)
最終更新:2017.10.07 11:55