共謀罪批判の国連報告者に対しては「何か背景がある」の陰謀論攻撃
しかも、ケナタッチ氏がこうした菅官房長官の声明に対し、「私が日本政府から受け取った『強い抗議』は、ただ怒りの言葉が並べられているだけで、まったく中身のあるものではありませんでした。その抗議は、私の書簡の実質的内容について、1つの点においても反論するものではありませんでした」と反論文を発表すると、ついに菅官房長官はこんなことまで言い出したのだ。
「日本政府は国連の正規のルートを含めて反論文を受け取っていない。何か背景があるのではないかと思わざるを得ない」
国連の特別報告者という人物に対し、「国連は反日左翼」などと恥ずかしげもなく書き綴るネトウヨと何も変わらない陰謀論を、よりにもよって記者会見で語る──。もはや「フェイクニュース」や「ポスト・トゥルース」以下の、分別の底が抜けた状態だ。
しかし、輪をかけて問題なのは、NHKをはじめとする“忖度メディア”が、この菅官房長官の言い分にもなっていない発言を紹介することで、あたかもそれが真実であるかのようなお墨付きを与え、問題点がどこにあるのかを国民の目からごまかしていることだろう。はっきり言ってメディアも同罪だ。
たとえば、今回発覚した内部文書について、菅官房長官は「文書の存在は確認できなかった」と言い張り、昨日の会見でも、再調査について尋ねられても「1回調査したが文書の存在は確認できなかったと大臣も言っているから、それ以上でもそれ以下のことでもない」と発言。もうこの回答以外、口にするつもりがないのだろうが、この国民を舐めきった菅官房長官の対応に、ジャパンタイムズの記者は強い口調でこのように迫った。
「政府の説明責任を果たすときに『これこれこういうことしましたからなかったです』と、ちゃんとロジックを立てて言わないと、『大臣が言われているからそうなんです』と言われてもそれは説明になっていない。個人のパソコン等を調べもしないでなぜ断定ができるのか」
この追及に、菅官房長官は「文部省として大臣のもとで調査をしたと。その結果、確認できなかったから、ないということ。それに尽きるんじゃないですか?」とややキレ気味に話し、会見を終わらせた。だが、たとえ暖簾に腕押しだったとしても、こうして記者が食い下がらないからこそ、菅官房長官を増長させてしまうのだ。
この調子だと、前川氏の勇気ある告発も、菅官房長官の不条理な妄言に潰されてしまうだろう。いまこそ記者は“スガ話法”に対峙し、「何の回答にもなっていない!」とごく当たり前の指摘を行うべきだ。
(編集部)
最終更新:2017.12.04 03:30