会見で菅官房長官が口にした前川氏へのメチャクチャな反論と真っ赤な嘘
菅官房長官は一昨日の会見でも、「文科省を辞めた経緯について、記事には『自分に責任があるので自ら考えて辞任を申し出た』とあったが、私の認識とはまったく異なる」などと言い、「前川氏は当初は責任者として自ら辞める意向をまったく示さず、地位にレンメン(編集部注・おそらく「恋々」の間違い)としがみついていた。その後、天下り問題に対する世論の極めて厳しい批判に晒されて、最終的に辞任した人物」とこき下ろしたのだった。
この「地位に恋々としがみついていた」とする発言に対しては、前川氏本人のみならず、文科省の職員や教育関係者などの前川氏を知る多くの人びとが否定しているが、いかに人格攻撃によって官邸が話をすり替えようとしているかがよくわかるというものだ。
しかも、菅官房長官は人格攻撃にくわえ、「民進党の責任」まで口にしはじめた。たとえば、一昨日の会見では、獣医学部の新設について「民主党政権下でも7回要望があり、それまで対応不可とされてきた措置を平成21年度の要望以降は実現に向けて検討としている。それを安倍政権が前進させて実現させた」と発言。昨日も同じ話を繰り返した。
そう言われても「だから何なの?」と返すほかない。いま、問題になっているのは、第二次安倍政権がスタートさせた国家戦略特区によって獣医学部新設が規制緩和されたことであり、さらには発覚した内部文書によって行政が「総理のご意向」のもと「加計学園ありき」で邁進していたことが明らかになったことについてなのだ。
だが、菅官房長官はその文書自体を決して認めない。17日の朝刊で朝日新聞が内部文書の存在を取り上げると、「作成日時だとか作成部局だとか、そんなものが明確になってない」と言い、記者に集中審議を求める声が野党から上がっていることについて質問されると「何を根拠に。まったく怪文書みたいな文書。出所も明確になっていない」と回答。そして、いつもの「決め台詞」をこう吐いた。
「この国家戦略特区の会議、その議論を得て策定しているわけです。それについてはみなさんご存じの通りオープンにされるわけで、お友だち人脈だとか、そういう批判はまったくあたらない」
何をか言わんや。オープンになっている情報からでさえも、加計学園と同様に獣医学部新設に名乗りを上げていた京都産業大学のほうは万全の準備と実績を重ねながらも、なぜか加計学園に有利な条件が再三加えられたせいで最終的に特区の事業者公募に手を挙げられなかったことが判明している。「総理のご意向」という文書は極めて重要な証拠だが、それ以前に誰しもが「安倍首相のお友だち人脈だからでは?」と勘繰らざるを得ない不自然な経緯だったのだ。それを菅官房長官は「批判はまったくあたらない」という常套句でシャットアウトしてしまうのだ。