黒沢哲哉『全国版 あの日のエロ本自販機探訪記』(双葉社)
東京オリンピックを機にエロ本がなくなる!?
2020年、この国から成人誌が消えてなくなる──。「非実在青少年」問題など成人誌を規制しようとする動きが日を追うごとに強くなっていることに加え、2020年東京オリンピックの存在がその決定打となるかもしれないと、現在業界関係者の間ではしきりに囁かれている。
東京オリンピックのための視察の際に「国際オリンピック委員会(IOC)視察団がコンビニの成人誌コーナーを見て顔をしかめた」という情報から、なんとコンビニから成人誌が一掃されるかもしれないという話がもちあがったのだ。これはあながち都市伝説と笑って見過ごしていられる話ではない。実際、国際的な大規模イベントの際に風俗街などが無慈悲につぶされるのはよくあること。たとえば、1990年に大阪で「国際花と緑の博覧会」が開催されたときには、日本橋・梅田・難波のソープ街が一掃されている。
事実、コンビニからの成人誌締め出しはすでにスタートを切り始めている。昨年3月には、大阪府堺市が市内にあるファミリーマート11店舗にて、中央部分を幅12センチの緑色のビニールフィルムで包んだ状態で成人誌を販売する試みが行われた。
このビニールで包まれると、雑誌の名前はかろうじて確認できるものの、表紙の大部分が隠されてしまううえ、立ち読みすることもできないので、読者は雑誌に何が掲載されているのかもわからない状態で購入せざるを得なくなる。当然ながら売り上げへの影響は避けられない。また、巨大な緑色のビニールフィルムはかなり目立つので、これをレジに持っていくのはなかなか勇気がいる。そこで二の足を踏む客も多いだろう。
これに対し、日本雑誌協会と日本書籍出版協会は連名で「憲法で保障されている表現の自由に抵触するのではないか。表紙は購入するか否かを決める重要な手がかり」として堺市側に対し公開質問状を送っている。
似たような施策は今年3 月に千葉市でも行われた。千葉市はコンビニで販売されている成人向け雑誌をフィルムで包み、表紙の半分程度を隠す取り組みを予定していると発表。今夏をめどに、千葉市と青少年の健全育成などに関して包括連携協定を提携しているセブン-イレブン12店舗で実施するとしている。