小林よしのりオフィシャルwebサイトより
25日、衆院法務委員会で共謀罪法案参考人質疑が行われ、マンガ家の小林よしのりをはじめ、法律や刑法の専門家などが意見を述べた。そして、共謀罪がいかに不必要かつ危険な法案であるかが露わになった。
最初に言及しなければならないのは、複数の参考人から「共謀罪は一般市民も対象」だという見解が示されたことだろう。
まず、共産党推薦参考人の、東京五輪誘致のために必要な法律を検討する文科省のワーキンググループでは座長を務めた経験をもつ刑事法が専門の高山佳奈子・京都大学大学院教授は、はっきりと「(一般市民が対象に)なると思います」と断言。「団体の性格が一変した場合には適用対象になるというのは当然の法律の解釈ですので、捜査権限が濫用されなくても一般人が対象に入ってくると理解しています」と述べた。
さらに、日本維新の会推薦で、過去に自民党衆院議員として共謀罪審議を行ってきた早川忠孝弁護士は、「一般市民は捜査対象にならない」と答弁してきた金田勝年法相と、捜査対象になりうる可能性を認めた盛山正仁法務副大臣の答弁について、「副大臣のほうが法律家に近い感覚でお答えになったのではないか」とコメント。つまり、法律家からしてみれば、今回の共謀罪法案は一般市民が捜査対象になることは十分想定できる、ということだ。
それだけではない。公明党推薦で、共謀罪に賛成する立場である井田良・中央大学大学院法務研究科教授は、「この法案は一般市民・団体を対象にしたものではない」とする一方で、民進党・山尾志桜里議員の「捜査開始が前倒しされるのでは」という質問には「組織的犯罪集団の行為には早めに対応しないと起こってからでは取り返しがつかなくなる。その意味で捜査が早めになるのは当然では」と回答。さらに「誤った人を捜査の対象にしてしまう恐れというのはすべての刑罰法規につきもの」と話した。
なんとか取り繕うと必死だが、ようするに井田教授は「捜査開始は早まるし、誤認捜査も起こる」と証言したようなものだ。井田教授は「今回の法案がとりわけその危険が高いということはない」と言ったが、共謀罪はその名の通り、犯罪を犯す以前の「共謀」した段階で逮捕できるため、いくらでも捜査対象は広げられる。「誤った人を捜査の対象にしてしまう」法案であることを認めたわけだ。そこには当然、一般市民も含まれるだろう。
このように、与党推薦の専門家からも一般市民が対象となることが逆説的に示された参考人質疑だが、ほかにもさまざまな重要な問題点があぶり出された。