●実際の放送内容は、中国の脅威を煽り自衛隊を喧伝する、ただの安倍政権PR
本サイトは同番組を確認したが、この画像は「スクランブル過去最多 強まる中国の“脅威”」と題した特集内で登場したもの。特集では昨年のスクランブル回数が過去最多を記録、なかでも中国機が約7割を占めると指摘。これは2013年から中国と日本の防空識別圏が被っていることが原因なのだが、それはさておき、有村議員が槍玉にあげた画像は、昨年12月に中国が自衛隊機によるスクランブル発進において近距離で妨害を受けたと発表したことに対して日本政府が事実と異なると抗議した、と紹介する場面で使われていた。上部に五星紅旗、下部に日の丸が風ではためく映像が配置されており、双方の国旗の上には中国機と日本の自衛隊機の絵が被せられている。
経緯の真相は置いておくとして、番組としては「中国機に対して自衛隊機がスクランブル発進した」という説明を行うために“先行する中国機とそれを追いかける自衛隊機”の絵を用意したと思われる。そして、双方政府の言い分が対立していることから、その絵の下に国旗を配置したのだろう。
ようするに、これは視聴者に状況を説明するためにデザインされた画像でしかなく、「国際儀礼のマナー」に含まれるようなものではまったくないのだ。
そもそも、国旗の掲揚の仕方などを記載している外務省HPの「国際儀礼のマナー」にも〈外国からのお客様を迎える際など,自国の旗と外国旗のどちらをどこに掲げればよいかが問題となります。そのため,国旗の掲揚についてもプロトコールが存在します〉と書かれているように、国旗の上下などのルールは海外から要人を招く際などのものだ。報道において国旗の並べ方を取り決めたものでは決してないのである。
にもかかわらず、有村議員はあたかも国際ルール違反とばかりに非難し、国会でこうわめき倒したのだ。
「まさにこの映像のような状況にならないよう、すなわち外国の属国とならず、日本の主権と国民の命を守るためにこそ自衛官は心身の危険や負荷を顧みず、日夜、過酷な訓練を重ねて練度を上げているのでは」
「日本にまったく非がないという文脈において、中国の戦闘機が日本に向かって猛スピードでくる。それを日本の自衛隊が日本の領空を守るために、主権を守るためにやっていることで、まったく非のない日本がなぜ海外の国旗の下に置かれなきゃいけないのか」
「この写真はまさに主権が奪われた状況の属国、隷属した状況のポジションに日の丸を置いている」