安倍首相は17日の国会答弁では、“総理大臣ではないときに「安倍晋三小学校にしたい」と打診されたが断った”とだけ話していた。だが、テレビ東京の『ゆうがたサテライト』が21日の放送で、前述の講演会のなかで昭恵夫人が「(夫は)もし名前を付けていただけるのであれば、総理大臣を辞めてからにしていただきたい」と話していたと明かしている模様が放送され、安倍首相の答弁と辻褄が合わないことが露呈。そして、きょうになって安倍首相は、何回も依頼があったと言い出したのだ。
しかも、17日の答弁で安倍首相は、籠池理事長について「いわば私の考え方に非常に共鳴している方でですね」「妻から森友学園の先生の教育に対する熱意は素晴らしいという話を聞いている」と言明。昭恵夫人も前述講演会で「こちら(森友学園)の教育方針はたいへん主人も素晴らしいというふうに思っていて」と話すなど、夫婦そろって籠池理事長の教育を肯定的に語っていたのだが、きょうの答弁では手のひらを返すように、こう言い放ったのだ。
「パンフレットをちらっと見せられただけ」
「学校がやってることの詳細はまったく承知していない」
「この方は簡単に引き下がらない人」
「非常にしつこいなかで、うちの家内が苦し紛れに『総理やめたら気が変わるかもしれませんね』ということを講演等のやりとりのなかで言ったことはあるけど、小学校に自分の名前を付けることを私自身は微塵も考えたことはない」
先週は「私に共鳴している人」と言っていたのに、きょうは「非常にしつこい人」……。さらに安倍首相は、籠池理事長との接点を「私が講演をするということが決まっていたときに、お断わりしたんですが、お断りする際に電話に代わって話したのが、ほとんど唯一に近い」「個人的にお目にかかったというのは記憶に残っていない」などと語った。
そんなわけがないだろう。既報の通り、「週刊ポスト」(小学館)3月3日号に掲載された籠池理事長とその妻である塚本幼稚園副園長への直撃記事では、夫妻が安倍首相を絶賛し、そのなかで〈おもむろに夫人が、籠池氏の携帯電話の画面をチラッと見せる〉というくだりが出てくる。それは驚くべきことに「安倍晋三の携帯電話番号」だというのである。もしこの番号が本物ならば、「1回も会ったことがない」人物が総理大臣の電話番号を知っていることなどあり得るのだろうか。同様に「週刊新潮」(新潮社)でも、〈籠池理事長は、安倍総理が来阪すると、定宿の『リーガロイヤルホテル』に駆け付けることもあった〉と書かれている。
だいたい、もし安倍首相が言うように“籠池理事長が勝手に自分の名前を利用し、その上、昭恵夫人を嵌めて無理やり名誉校長を強要した”のだとしたら、とんでもない話であり、17日の国会答弁の段階で籠池理事長に対し強く抗議するのが当然の流れだったはずだ。それをいまになって籠池理事長との関係を猛然と否定しにかかったりするのは、テレ東や週刊誌などの報道によって昭恵夫人や籠池理事長の発言があぶり出され、旗色が悪くなったからにほかならないだろう。