しかも、稲田防衛相は「(日報では)一般的な辞書的な意味で戦闘という言葉を使ったと推測している」と言いながら、「武器を使って人を殺傷したり、物を壊したりする行為はあった」と認めているのだ。
「武器を使って人を殺傷したり、物を壊したりする行為はあった」のなら、それは辞書的な意味云々ではなく、日本政府が「戦闘行為」と定義する《国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為》そのものだ。さらに、PKO参加5原則では〈紛争当事者間の停戦合意が成立〉していることが参加条件となっているが、停戦合意が崩壊していることは日報の文面からも明々白々である。
つまり、新任務である「駆けつけ警護」を運用するために、戦闘状態であるという事実を覆い隠し、憲法上問題があることを認識しながら、稲田防衛相や安倍首相は「衝突」などと虚偽の説明を国民におこなってきたと「認めた」のである。明らかに違憲である安保法制を強行するなど安倍政権の憲法軽視はいまに始まったことではないとはいえ、ここまで堂々と開き直れるとは。
今回の稲田防衛相の答弁は、まさしく辞職ものの大問題発言であり、南スーダンへの派遣を即刻見直すべきだが、それにしても問題なのは、こんな道理の通らない話を大臣が堂々と国会で言ってのけてしまう状況だ。
今月6日には、法務省がマスコミに向けて、「共謀罪」の国会質疑について「法案を国会提出後に法務委員会で議論すべきだ」とする文書を配布。これは金田勝年法相が指示して作成したもので、批判が集まり金田法相は撤回したが、これは国会への圧力だけではなく、マスコミの言論を封殺しようとする蛮行だ。
金田法相といい、稲田防衛相といい、安倍政権のやりたい放題ぶりはますます拍車がかかって凄まじいものとなっている。言葉を言い換えることで憲法違反を繰り返し、マスコミに圧力をかけ、国会での議論を抑え込もうとする。──こんな恐ろしい状況を、当たり前にしてしまってはいけない。
(編集部)
最終更新:2017.11.16 12:58