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キンコン西野の「お金の奴隷解放宣言」はおかしくない! 絵本無料公開を批判する意見こそ「奴隷」の発想だ!

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キングコング西野オフィシャルダイアリー「魔法のコンパス」より


 キングコングの西野亮廣が、絵本『えんとつ町のプペル』(幻冬舎)をめぐって大炎上が巻き起こっている。

「絵本を無料で公開します。金を払わない人には見せないとか糞ダサい。お金の奴隷解放宣言です」

 こんな言葉とともに、西野は昨年10月の発売以来20万部も売り上げていた『えんとつ町のプペル』を全ページ、ネットで無料公開したのだ。

 すると、ネット上で西野に対する批判が巻き起こった。いわく「すでに買った人が損」「ほかのクリエイターがもらえる対価まで安くなってしまう」「子どもがお金のありがたみがわからなくなる」「出版社や書店にお金が入らず迷惑」……。

 しかし、はっきりいうが、どれもこれもいちゃもんのレベルにすぎない。たとえば、「出版社や書店にお金が入らず迷惑」というが、無料公開前の時点で20万部を超えており、すでに大きな利益が出ていし、今回の騒動後もその余波でさらに売り上げを伸ばし増刷もしている。

 だいたい、無料公開というのは、プロモーション・販売戦略としては、目新しい方法などではない。たとえば声優の明坂聡美からの批判に対する反論のなかで、西野は音楽のPVの例をもちだしていたが、出版においてもネットで全ページ無料公開というのは過去にいくつも成功例があるすでに確立された方法論だ。

「ほかのクリエイターにしわ寄せがくる」という批判も、たしかに多くのクリエイターが劣悪な環境に置かれているのは事実で、改善されるべきだが、それは西野とはなんの関係もない。西野が無料公開したからといって、ほかのクリエイターの条件が悪化するなんてこともありえないだろう。

 ましてや、「すでに買った人が損」って、何をいっているのだろう。だいたい本(や音楽、映画なども)は単なる商品じゃない。制作にかかる労力やコストに対する対価、作品の金銭的価値、作品の価値はすべてイコールではないし、比例するものでもない、それぞれまったく別問題だ。おもしろい映画もおもしろくない映画も同じ1800円だし、西野の絵本が2000円でドストエフスキーの『罪と罰』も上下巻で2000円弱だ。西野の絵本とドストエフスキーのどちらに価値があるかをここで論じるつもりはないが、少なくともお金ではかれるものではないことは明らかだろう。こういうことをいう人は、自分が買った単行本が文庫化されても同じことをいうのだろうか。

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