いったい、なぜこんなことになるのか。レコ大の審査委員のほとんどはスポーツ紙記者や新聞記者、テレビ局の局員で占められている。たとえば、「優秀作品・新人賞委員」では、審査委員長の毎日新聞、副委員長の日刊スポーツを筆頭に、読売新聞、時事通信、産経新聞、東京中日スポーツ、報知新聞、東京スポーツ、MBS毎日放送、RKB毎日放送といったマスコミ関係者がずらり(第57回時点)。
「アルバム賞委員」「作曲家協会選奨・最優秀歌唱賞委員」にも、デイリースポーツ、東京新聞、日本経済新聞、日刊スポーツ、スポーツニッポン、サンケイスポーツ、夕刊フジ、CBC、HBC北海道放送と、日本のすべてといっていいスポーツ紙の記者が名を連ねている(第57回時点)。
報道機関に所属している人々はなぜ、こうした腐敗の決定的証拠が発覚してもそれを無視し、従来通りの出来レースを続けていられるのか。彼らに倫理感覚はないのか。
いや、実はないのである。こうしたレコ大審査委員に名前を連ねているマスコミ関係者のうちの多くがB担と呼ばれるバーニングべったりの記者で、バーニングの“共犯者”なのだ。
「週刊文春」によれば、「優秀作品・新人賞」審査委員15人のうち、「最低でも8名は普段からバーニングと仕事の付き合いがある記者」で、審査委員のなかには自らバーニングに出向き、「今年はどうするんですか?」と聞きにいく者もいるという。
そうした癒着関係のある審査員たちには、なんともおいしい接待が用意される。ただ、こういった話は昨日今日出てきた話ではなく、ずっと指摘され続けてきたことだ。「週刊新潮」(新潮社)では、レコ大の審査委員経験者や関係者が、自分たちの受けた接待についてこう証言している。今回の「1億円」のも、おそらくこのようなかたちで使われたものだろう。
「高価な贈り物や商品券が届くこともあるし、授賞させたいと思われるタレントの曲や映像が入った高価なiPodが送られてきた人もいます。銀座や六本木のクラブでの接待や、有名店でのディナー攻めも多い。これだけご馳走になったら投票しないわけにはいかない、と思う人もいるし、審査員がそれを逆手に取って、投票するからネタをくれ、などと要求するケースも多いですね」(08年9月11日号)
「11月18日の第4回会合までには受賞作がほぼ確定する見込みですが、それまでは昼も夜もレコード会社や芸能事務所の宣伝担当者との会食が入っている。昼に鰻、夜にしゃぶしゃぶ、あるいは昼ステーキで夜は寿司。当然、酒も入る。そんな毎日ですから、胃腸も肝臓も最悪の状況ですよ」(11年11月17日号)
「J-POP系のあるレコード会社では、5人の宣伝部員が1人あたり300万円以上の予算を持ち、さらに制作部も動くので、レコ大関係の接待費は2000万円を下らないでしょう。同社の場合は、高級焼き鳥店などで食事をした後、六本木のクラブのVIPルームで女の子と飲むことが多いようですが、演歌系の大手事務所などは、一次会は1人3万円位するしゃぶしゃぶ屋で、二次会は銀座の高級クラブ……と、会社や事務所によって接待の流儀はそれぞれです」(同前)