「Amazon Prime Now」HPより
今月15日、アマゾンジャパン合同会社が、1時間以内配達サービス「Prime Now」の対象エリアを東京23区全域に拡大すると発表した。
この「Prime Now」というサービスは、対象エリアの会員が専用のアプリを通じて対象となる商品(食料品や雑貨から家電まで、現在6万5000点以上)を注文すると1時間以内に配送されてくるというサービスだ(注文受付時間は6時から23時59分まで。送料は890円。2時間以内配送便であれば送料は無料)。
「Prime Now」自体は昨年11月から日本でサービスをスタートさせているものではあるが、今回の対象エリア拡大により、ついに東京23区全域で利用できるようになった。このサービスの対象エリアは東京に限らず、現在では横浜市と川崎市、浦安市、市川市の一部でも利用することができる。また、関西であれば大阪市や尼崎市の一部でもサービスがスタートしている。
対象エリアの住人であれば、もはやコンビニに行く必要性すらない。そんな便利なサービスの登場ではあるが、消費者は別に喜んではいないようだ。むしろ、ツイッターにはこんな声が溢れていた。
〈またブラックな職場が一つ増えた。そんなのやらんでいいっちゅうに〉
〈Amazon Prime Nowはかなり大変だろう。配達業者はサービスが過酷で忙しく、個々の対応も自然と悪くなり苦情ばかりが増える〉
よく知られているように、ネット通販市場が爆発的に成長したことで、宅配業界はいま人手不足にあえいでいる。
そして、この人手不足に拍車をかけているのが、宅配業界における労働環境の厳しさ、ブラック体質だ。ジャーナリスト・横田増生氏の著書『仁義なき宅配 ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン』(小学館)には、想像以上に過酷な宅配業者の現実が詳らかにされている。
その一例としてあげられているのが、業界最大手であるヤマト運輸の下請け業者のケースだ。横田氏は、ヤマト運輸の宅急便を各家庭に配達する菊池次郎(仮名)という下請け業者の助手として、その1日に密着している。