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『5時に夢中!』プロデューサーが「タブーと戦わない」発言! 過激がウリの番組が大手芸能プロの言いなりになっていく過程とは

 この顛末を見る限り、番組制作サイドから、自由な言論を大事にし出演者には「出ていただいている」という思いは微塵も見えてこない。ただただ、テレビ業界そこかしこにまん延する「大手芸能プロに忖度する態度」が見えてくるだけだ。

 同番組にまつわるイザコザといえば、昨年1月に起こった中村うさぎの降板宣言も記憶に新しい。ことの発端は、中村が昨年1月30日のブログに「二度とあの番組には出ない」と降板を表明したことだった。その理由は、共演していた美保純に対する「ポルノ女優のくせに」との差別的な発言だったとされている。これに対し、番組プロデューサーから謝罪を求められた中村は「絶対にそんな発言はしていない!」と猛反発。美保とプロデューサーに「陰でいろいろ言われてた」ことに怒りをあらわにした。実際、美保が中村について陰でスタッフと相談していたことをふかわもブログで明かしている。しかし、プロデューサーは結局「芸能人」である美保の主張を優先したといわれている。

 先ほど説明した通り、番組スタート当初は芸能界や大手事務所といったしがらみのない人たちがコメンテーターに名を連ねていた。それはそういった人たちしかブッキングできなかったという事情があったわけだが、それゆえにマツコ・デラックスなどのスターを輩出する登竜門にもなった。

 しかし、番組がブレイクするにつれ状況は変化。ふかわや彼と同じナベプロ系の中尾ミエや女優の美保純などといった著名芸能人を起用するようになっていく。番組の影響力の増大と同時に、芸能界の力学から無縁でいられなくなったのである。

 番組まわりの状況が変わるにつれ、大川プロデューサー自身の気持ちにも変化が起きたのかもしれない。前掲書を読むと変遷を如実に表す一文が書き記されていた。

〈最近は、SNSやメールで一部の熱狂的な皆さんから、「言論の自由をうたうなら、芸能界のタブーにもっと斬り込め!」「社会の巨悪と戦え!」「過激とは名ばかりか!」など、熱いご指摘をいただくこともあります。ご意見としては非常にありがたいのですが……別に、『5時に夢中!』は、表現の自由を勝ち取るために戦っているわけではありません。
 第一、夕方からそんな戦いを見せられても楽しくないと思いませんか?
「タブーと戦う」「悪と戦う」みたいな、わかりやすい「過激」ではなく、どの角度からどんな意見が飛び出すか分からない方が、よほど「過激」です。プロデューサーとしては、そんな、多様な意見が飛び出す「過激で自由な空間」を楽しんでもらえると嬉しいです〉

『5時に夢中!』はこのままどんどん、悪い意味で「普通」のワイドショーになってしまうのだろうか。日増しに言いたいことが言えなくなっている現在のテレビ。せめてこの番組ぐらいは解放区のままでいてほしいと思うのだが……。
(新田 樹)

最終更新:2016.11.11 04:07

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