まさに公安らしい卑劣なやり口ではあるが、しかし、こうした不当捜査や別件逮捕はこの数年、「昔からの警備・公安の常套手段」という話では済ませられないくらい激増し、露骨になっている。
たとえば、今年5月14日には東京・JR立川駅前で「安倍政権打倒」のビラを配った中核派全学連の活動家が通行人を突き飛ばしたとして逮捕されている。この男性がビラを配っていたのは昨年12月のことだが、今年5月に沖縄のデモに参加しているところで逮捕されるというものだった。
また、7月14日には、政権批判ビラをまく目的でホテルに侵入したとして、兵庫県警が男性4人を逮捕する事件も起きている。男性らは「憲法改悪に反対しよう」というビラを所持していたとして逮捕されたが、当時ホテルでは組合関係の会議が開かれており、どこが建造物不法侵入なのかも不明の逮捕だった。その後、男性らが革マル派の活動家だったとして、東京新宿区の「解放社」に家宅捜索が行われている。
マスコミも国民も「過激派だからしようがない」という感じで一切問題視していないが、この公安の暴走はどんどんエスカレートしている。
昨年の安保法制が大きな批判を浴びていた8〜9月には、都内の複数の駅トイレで安倍政権批判の落書きが見つかったが、これに対し、警察が器物損壊の容疑で捜査に着手。さらに参院選の公示前の6月18日夜、別府警察署の捜査員が民進党や社民党の支援団体などが利用していた建物の敷地内にビデオカメラ2台を設置、この件には署長以下幹部もかかわっていたことが判明している。
ようするに、政権に反対する動きを、警察が片っ端から監視し、捜査権を使って抑え込もうという動きが出てきているのだ。
これは、本サイトでも指摘してきたように、安倍政権で公安出身の杉田和博官房副長官と内閣情報調査室の北村滋情報官が重用され、公安警察という組織自体が「官邸の特務機関」化してしまったためだ。しかも、最近は公安のほうも増長し、やりたい放題になっているのだという。
「官邸に命じられて反対派を取締まったり監視するケースはもちろんありますが、最近は公安のほうが官邸に気に入られようと、競うように、安倍政権に敵対する勢力を監視、摘発するようになった。しかも、多少の違法捜査をしても上層部からもマスコミからもほとんど批判を受けないため、イケイケの状態になっています」(前出・全国紙公安担当記者)
中田氏の違法家宅捜索は氷山の一角でしかない。この国は安倍政権によって、いつのまにか警察国家、言論弾圧国家になってしまったのである。
(田部祥太)
最終更新:2017.11.24 06:31