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ラーメン二郎店長が語るワンオペ地獄、すき家では今もワンオぺが…人手不足が加速させる飲食業のブラック体質

 2年前に大問題となったのを契機に現在のすき家では深夜帯のワンオペ体制はなくなってはいるが、実はワンオペ自体がなくなったわけではないという。前述のバイト店員はこう語る。

「社員からも全店で深夜のワンオペ体制はなくなったと聞いています。ただ……この店では昼2時からの4時間と、朝5時からの6時間はワンオペ体制になるんです。
 社員の方もワンオペをなくすために近くの店でヘルプ要員を確保しようと頑張ってくれています。でも、どの店も店員不足だからどうしようもないんですよ。ウチの店には全部で8人しかいませんし」

「ブラックバイト」問題が広く報じられた結果、店舗スタッフに対し問題のある扱いを行った企業は従業員集めが困難になっているようだ。しかし、これによりブラックバイト問題そのものがなくなっていると考えるのは早計だ。

 たとえブラックバイトであろうと働かざるを得ない人々はいまでも過重労働に苦しんでいる。前掲「週刊プレイボーイ」で取材に応えていたすき家のバイト店員は大学4年生だったが、この学生はまさにその典型とも言える。いまの学生の多くにとって、アルバイトは、飲み代や趣味に使うお金を得るための「小遣い稼ぎ」ではなく「生活のための労働」と化している。

 子どもや若者の貧困問題は深刻さを増しているが、家庭からの仕送り額は年々減少し、学生が一日に使えるお金は900円以下というデータも出ている。仕送りだけでは就学不自由・困難だと感じる学生が40.3%もおり(12年度/全国大学生協調査より)、実際4年生大学昼間部の半数以上の52.5%が何らかの奨学金を受給している(12年度/学生生活調査による)。さらに、かつてはほとんどが無利子だった奨学金制度は、今や有利子の学生ローンと化していて、奨学金の返済計画のため在学中からバイトにいそしんだり、卒業後も事実上の借金を抱えながら四苦八苦する者が大勢いるのである。

 ブラックバイトという言葉を提唱した中京大・大内裕和教授も「POSSE vol.22」(NPO法人POSSE/14年3月)収録の対談のなかで、バイトのせいで肝心の学業が円滑に行えない学生が増えていると嘆いている。

「ゼミの合宿やコンパを実施することがこの数年間とても難しくなっています。それは学生にアルバイトの予定が入っているからです。曜日固定制のバイトであればその曜日は絶対に動かせない。直前までシフトが決まらないバイトの学生もいる。テスト前にも休むことができない」

 ここのところあまり話題にならなくなった「ワンオペ」問題だが、この構造は決して解決したわけではない。また、今年6月には、飲食店チェーン「しゃぶしゃぶ温野菜」でパワハラに遭い、さらに4カ月ものあいだ無休で働かされていたとして全国初のブラックバイト訴訟が起きたことも記憶に新しい。

 労働問題を考えるときは、ブラックバイトで苦しんでいる人がいることを認識しておく必要があるだろう。
(新田 樹)

最終更新:2017.11.12 02:30

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