前述の通り、このような状況に陥ったあと程なくしてお店は一時休業。9月24日には、本部から派遣されたスタッフを交えツーオペ体制で営業を再開しているのだが、「週刊プレイボーイ」のなかで店主はワンオペ体制になった経緯をこう明かす。
「以前は学生バイトがいたんだけど、卒業して辞めちゃって。まあ、しょうがないからひとりでも頑張ろうかと」
では、またバイトを雇えばいいような気もするが、そうもいかない理由があると店主は語る。
「ウチのバイトはずっと“元常連客”ばかりです。なぜなら、毎日のまかないが二郎ラーメンだから。なので、ウチのラーメンが大好きじゃないと働いてくれません」
本当かぁ!?という気もしなくもないが、いずれにせよそうしてワンオペ体制で店を続けていくうちに店主の身体にはだんだんと疲労が蓄積されていく。
「店は日曜が定休でしたが、今年は7月頭に4、5日休んだだけでほぼ無休。年のせいか、疲労がたまっちゃってね。夏を迎えると頭がボーッとすることが増えてきました」
朝の仕込みから、客とのやり取り、製麺、片付けまでひとりでこなしていく日々を過ごすうちにある事件が起こる。それが店主の心と身体を破壊し、休業まで追いつめたのだった。
「食器洗浄機が壊れました。それからはシンクにたまった食器の手洗いという面倒な作業が加わり、腰痛がうずき始めた。朝に製麺するときも感覚がマヒし、小麦粉に加える水の量が多すぎて二郎っぽくない柔らかい麺ができてしまったり。その間違いには気づくんだけど、作り直す気力が湧かなくて……。結局、8月末に(三田)本店のオヤジに『いったん、休め』と言われ、一時休業を決めました」
店主の証言した通り本当にバイトが集まらないのか、それとも本部からバイトを補充させてもらえない懐事情だったのか、疑問は残らないでもないが、バイトを募集しても本当にバイトが集まらない店もある。「ワンオペ」の代名詞でもある「すき家」だ。
前掲「週刊プレイボーイ」では、現在、すき家で働いているバイト店員(大学4年生)によるこんな証言が掲載されている。
「継続してバイト募集を行っていますが、誰も来ないんです。時給を吉野家や松屋より50円上げましたが、それでも来てくれない。ワンオペで散々叩かれて『すき家=ブラック』というイメージがこびりついているんです」