古市氏が著書で主張していることがどこまで真実なのかは分からない。ただ、前述のジャイアンツ選手野球賭博問題でも執拗に暴力団の関与を追い、結局その証拠を掴めていないことを考えると、説得力をもつ話ではある。
古市氏からの告発は以上の通りなのだが、本書にはこれ以外にも暴力問題、賭博、八百長など、相撲界に巣食うスキャンダルについての詳細が綴られている。
ここのところ相撲界ではスキャンダルが頻発し、数々の問題があぶり出されてきたが、それらの反省は今もまったく活かされていないということなのだろうか。同書は、こんな相撲界への批判で締められている。
〈俺が刑務所に入ってからも、相撲協会は北の湖理事長と九重親方(元横綱・千代の富士)、貴乃花親方らが権力闘争を繰り広げ、そのたびに妖怪のような連中が内部で暗躍しながら、公益財団法人とは思えないスキャンダルがいくつも表沙汰になった。
結局、俺の事件や八百長メール事件で得た教訓など何もなくて、本当にこの世界から退場しなければいけない奴らだけが、のうのうと生き残っている。それが現実だ〉
(井川健二)
最終更新:2016.07.19 11:04