たとえば、米ディズニー本社が「スター・ウォーズ」の版権を手に入れたことから大々的にプロモーションを展開する「スター・ツアーズ」。13年5月にリニューアルされた「スター・ツアーズ」は上映回ごとに複数の映像を組み合わせて上映。ディズニーは54通りのストーリーがあると、リピート鑑賞を煽っているのだが、これがどうも“誇大広告”らしいのだ。
〈(「スター・ツアーズ」は)出発2種→1星3種→メッセンジャー3人→2星3種。と用意されている。1回の乗車では、それぞれ1種しか見られない。これをディズニー側は、2×3×3×3で54通りのストーリーがある、と紹介している。ただ、各パーツのエピソードは、次のエピソードに何の影響も与えない。ただ、どれかが出てくるだけである。だから、この54通り、という数値には意味がない。(略)要はすべてのパーツを見られるかどうか、が大事なのだ。つまり2+3+3+3で11。11通り見られれば、満足です〉(同書)
この11通りは理論上、3回見ればコンプリートできる。著者の調査では最短記録で4回でコンプリートできたという。
また、同書はディズニーが「いつ行っても何かのアトラクションが休んでいる」という意外な事実も暴いている。
〈2015年一年365日のうち、ディズニーランドのすべてのアトラクションが稼働していたのは、11日しかなかった。(略)シーの全アトラクション稼働日数は年間13日だった〉〈ランドもシーも全アトラクションが稼働している日は、一年を通して見ると、圧倒的に少ない〉
ファンであれば全アトラクションを完全攻略したくなるもの。もしかしたら、それを先延ばしにさせて、リピートさせる戦略か、と思いきや、前述のオリエンタルランド・ユニオンによれば、別の背景もあるらしい。
「コスト削減のために、キャスト(従業員)を最小限で稼働させています。過労による体調不良でキャストが急きょ休まざるをえなくなると、アトラクション自体を動かせなくなるということも起きる。その際は『メンテナンスによる休止』などと案内するのです」
いずれにしても、オリエンタルランドはコストを優先するかたちで、意図的にアトラクションを全稼働させていないのだ。これは、明らかにファンに対する裏切りだろう。
こんなことばかり続けていると、本当にファンが夢から覚めて、そのうちドナルドダックのかわりに閑古鳥が鳴き始める、なんて事態も起こりかねない気がするのだが……。
(小石川シンイチ)
最終更新:2017.12.05 10:00