ようするに、安倍政権が、解釈改憲によって強行した安保法制など、その打ち出すタカ派の政策の数々、そして「任期中に着手する」として一方的に改憲へと邁進していることに、国民は明確に危機感を募らせているのだ。それは、立憲主義を無視した暴挙を繰り返す安倍政権への、従来の“護憲派”の枠を超えた国民のアンチテーゼでもある。
これはなにも9条の議論だけにとどまらない。安倍政権と日本会議が打ち出す緊急事態条項の新設についても、これは国民の要望から生まれたものではない。毎日新聞が東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の42自治体に尋ねたところ、回答した37自治体のうち「緊急事態条項が必要だと感じた」としたのは、わずか1自治体だけだった(4月30日付朝刊)。
しかし、安倍政権はこうした世論調査や自治体の意見に耳を貸すことはないだろう。国民がいくら憲法改正に反対しても、議会で3分の2をおさえてしまえば、そのまま一気に改憲に着手するはずだ。
改憲の動きを止めるためには、ただ反対を口にしているだけでは足りない。7月の参院選では、他の政治的課題をいったん棚上げし、改憲勢力をひとりでも多く落選させる必要があるだろう。
(編集部)
最終更新:2016.05.18 06:06