昨年は著書『働く男』(文藝春秋)が文庫化され、さらにテレビドラマ『コウノドリ』(TBS系)での演技も高評価を受ける。星野源にとって2015年は、まさに「絶好調」の年となった。
12月に発売したアルバム『YELLOW DANCER』は初週売り上げ13万枚以上を超えるセールスを記録し、オリコン週間アルバムチャート1位を獲得。また、良かったのはセールスだけではない。プリンスやマイケル・ジャクソンやディアンジェロなどのブラックミュージックの空気感を下地にしながらも、単なる洋楽のコピーにならず、それらの素養をJ-POP的構造のなかに落とし込んだ音楽性は評論家からも高い評価を得た。アルバムリリース時に「ミュージック・マガジン」(ミュージック・マガジン)、「MUSICA」(FACT)、「ロッキング・オン・ジャパン」(ロッキング・オン)といった主要な音楽専門誌の表紙を独占したことからも、その評価と注目度の高さがうかがえるだろう。
このように、今や「オシャレ音楽」の旗手、そして全サブカル女子の憧れの的となっている星野源だが、その一方で、このアーティストには全く別の顔がある。それは、「下ネタ」大好きキャラだ。
彼の「下ネタ」好きはファンの間では周知の話で、『星野源雑談集1』(マガジンハウス)でも、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「AVサミット」回への出演をプロデューサーに直訴したことや、葬式などの「不謹慎な場でムラムラする」と意外な性癖を明かすなどしている。
しかし、12月12日に出演した『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』(TBSラジオ)では、これまでとは少し趣の違う下ネタ発言が飛び出した。なんと、ファンのサブカル女子たちが日々うっとりして聴いているであろう自身の曲の歌詞にまで、実は下ネタの暗喩が散りばめられていると告白したのだ。
例えば、最新アルバムに収録されている「桜の森」という楽曲について彼はこう語る。
〈まず歌詞がスケベですよね。「あそこの森の」っていうのがもうダメです(笑)〉
〈「僕はただ見ている」というサビなんですけど、なんて言うか、イメージとしては上に乗ってくれている時の女の子を見ているみたいなイメージです〉
アメリカのソウルやR&Bなどの歌詞は、うっとりするようなその音楽とは裏腹に、実はよく聴いてみると露骨にセックスのことを歌っていたりして、日本人が歌詞の対訳を読むと途端に笑うしかなくなってしまうようなことが多い。そこで星野は、本場のブラックミュージックと同じく歌の内容はセックスに関することなのだけれども、アメリカの様式をそのまま直輸入するのではなく、日本人の美意識にも合うように隠喩のかたちで文学的に書いてみたのだと言う。