釈氏は、杉山氏が出席した女子差別撤廃委員会の前日に行われたセッション前ワーキングミーティングに、日本のこころを大切にする党の杉田水脈・前衆院議員、「なでしこアクション」代表の山本優美子氏という“極右女子3人組”で参加し、「慰安婦の「強制連行」、また、「セックススレイブ(性奴隷)」。この二つの言葉、これが完全なる間違いだ」と主張。つまり、国連に「慰安婦問題は歪められている!」と訴えに出向いた人物である。
だが、そんな歴史修正丸出しの主張が国連で聞き入れられるわけがなく、当の釈氏は杉山氏の答弁時の委員会の様子を、こう振り返っている。
〈女子差別撤廃委員会の委員の方が「納得がいかない」と激しく抗議をしていました。 杉山審議官が話せば話すほど、委員同士が顔を見合わせて、失笑する、というような場面も見受けられました。
これまで二十数年、「河野談話」を政府の公式見解としてきましたし、人権派弁護士といわれる戸塚弁護士が「性奴隷」という言葉を流行らせたりしてきました。それがいきなり、杉山審議官が「朝日新聞は捏造だった」「吉田氏の著作が原因だった」と言っても、なかなか受け入れられません。それどころか、「歴史の否定だ」という言葉が委員から出ていました〉(「なでしこアクション」HPの報告より)
なるほど、日本政府の見解がまったく国連では相手にされていないことがよくわかる話だ。しかし、釈氏はこうした委員会での当然の様子に対し、〈国連の場において、日本を貶める言論、考え方、捏造、デマ等がここまで定着してしまったか、という厳しい現実を目の当たりにしました〉と述べている。どうやら彼女にとっては国連さえも“反日捏造の温床”に見えているらしい。
さらに、この「なでしこアクション」のHPが国連にかみついているのは、慰安婦問題だけではなかった。杉山氏が出席した女子差別撤廃委員会の対日審査について、会議を傍聴したという〈スイス在住のなでしこアクション仲間〉が報告しているのだが、その内容が凄まじい。
この報告によると、同委員会で日本側が求められたのは、「強姦の定義を広めるべき」「DVからの女性の救済は万全であるか」といった暴力の問題や、「女性の地位が低い」「男女の役割が未だ固定的である」という男女平等の問題、「選択制夫婦別姓を認めていない」点などの婚姻制度の問題、さらに「行き過ぎた性教育にブレーキをかけようとする動きがあるが、若年層の妊娠を防ぐためにも、ブレーキをかけるのは正しくない」という性教育の問題、在日韓国人やハンディキャップをもった女性が二重差別状態にあるといった問題だったという。いずれも先進国と比較して遅れをとっている、あるいは前時代的な問題ばかりだが、〈なでしこアクション仲間〉だという筆者は、このようにまとめるのだ。