以上述べてきたように、一度事故物件になってしまうと、売り主、大家、不動産会社はその家の過去のために大変な苦労をするのだが、なかには住宅として使うのを諦めてしまうケースもある。その場合、事務所専用として法人向けに貸し出したり、撮影スタジオとして生まれ変わることが多い。利便性の高い駅近マンションでまわりは賃貸や分譲の部屋なのに、一室だけそのような使われ方をされていたら、過去に何かがあった可能性はゼロではない。
今の時代、ネットで簡単に検索できてしまうため、「事件から10年間は告知するようにする」、「同じフロアで起きた事件であれば告知する」など、旧来のやり方を見直す業者も出始めてはいる。しかし、それもまだごく一部。
いくら気にしない人でも、いざ入居した後にそのような事実を知ってしまったらなんだか居心地はよくないもの。不動産屋から出される情報を鵜呑みにすることなく、自分でもいろいろと調べてみることが最善の回避策なのかもしれない。
(新田 樹)
最終更新:2018.10.18 05:48