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バス事故で教え子を亡くした尾木ママが「あれは事故ではなく事件」「小泉政権の規制緩和のせい」

 このような指摘の声は他のコメンテーターや識者からも挙がっているが、しかしこれはバスだけに限った話ではない。それは、バス業界と同じように規制緩和が行われた、タクシー業界でも同様の問題が考えられるからだ。

 タクシー業界も00年に道路運送法が一部改正され、規制緩和が実施されたが、バスと同様に新規参入する会社が急増、タクシー台数は飛躍的に増え、運賃の値下げ競争が勃発した。『公共交通が危ない─規制緩和と過密労働』(安部誠治/岩波ブックレット)では、タクシー業界の「規制緩和がもたらした結果」を、このように解説する。

〈この業界で働く人々が最低限の生活さえも維持できない、遵奉精神のあるまともな経営は立ち行かない、そして、交通事故が大幅に増えた、という現実である。タクシーの場合、鉄道や航空機のような大規模事故にはならないために目立ちはしないが、不幸な事故は日々積み重ねられており、輸送の安全は確実に蝕まれている〉

 同書が発行されたのは05年であるためデータは古くなってしまうが、だが現在も問題は大きく変わってはいない。昨年発売された『潜入ルポ 東京タクシー運転手』(文春新書)を執筆したノンフィクション作家の矢貫隆氏も、「2013年に東京でタクシーが起こした人身事故件数は4157件。2000年の7226件からは減っていますがバブル時の1989年の3151件と比べると上回っています(警視庁調べ)。全自動車の事故数に占める割合も、1989年の5.8%から2013年は9.9%と増加しています」(「東京経済オンライン」矢貫氏インタビューより)と話している。13年の国土交通省の資料「事業の種類別の重大事故発生状況」でも、タクシー・ハイヤーの死傷状況は828 人で前年に比べ 44人増となっており、全体の交通事故数・死者数ともに年々減少傾向にあることを考えると、タクシー事故の増加は数字以上に際立っている。

 また、前述した『公共交通が危ない』では、〈タクシーにおいては、規制緩和論者が主張する「市場原理による需給均衡」はもたらされないのである〉と警鐘を鳴らしているが、これはバスも同じこと。参入者が増え、低価格競争に晒された結果、運転者の健康管理や適性問題、さらに安全面への対策にかかる時間やコストが削られ、それが重大事故につながっていっているのだ。

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