なかでも脱力させられたのが、この一言。『モーニングバード』(テレビ朝日)に生出演し、PR動画よろしく安保法制について安倍政権の言い分を垂れ流したのだが、コメンテーターの玉川徹と長嶋一茂から詰問を受ける結果に。ヒゲの隊長は「日本国民は憲法で守られているので徴兵されることは全体にありえない」と断言したが、逆に一茂から“国民は集団的自衛権と憲法が相反すると思っているのでは?”“女性たちがこの法案を心配しているのは、徴兵制の可能性を否定できないからでは?”などとメッタ斬りにされてしまったのだ。そして番組が終わると、「テレ朝は徴兵制に前向きなのか?」と負け犬の遠吠えのようにツイート。……いやいや、単純に国民の不安をぶつけただけなんですけど。っていうか、これぞ安倍首相の決め台詞「レッテル貼り」なのでは?
ヒゲはその後も安保法制の強行採決時、意気軒昂にパンチを繰り出し、ついにはこの瞬間の写真が米・CNNの報道写真展で2015年を代表する1枚のひとつに選ばれてしまった。国辱ってこういうことだと思いますけど、この人、わかっていないんだろうなあ……。
★ 8位
菅義偉・官房長官
「私は全共闘世代だが当時はこんなもんじゃなかった」
(7月16日、官房長官記者会見で)
記者会見で「国会周辺では若い人たちが反対の声をあげているが」と訊かれて、菅官房長官の返事がコレ。どう考えても菅サンが国会前でスクラム組んでたとは到底思えないんですけど、実際に現場に行って見たこと、ほんとうにあるのだろうか。というより、今年の国会前のデモだってちゃんとその目で見た上で言っているのだろうか。
しかし、反対派デモを矮小化しようとしたのは、菅官房長官だけではない。たとえば「法的安定性は関係ない」発言で一躍有名になった礒崎陽輔首相補佐官(当時)も、7月15日の大規模デモを「5千人未満ということだそうです。道路にあふれない限り、そんなに多くの人がいる場はありません」とツイート。実際は道路に人があふれ返り、警察の厳重な「道路にあふれさせない」警備によって押し合いへし合いの危険な状況だったのだが……。
そもそもなぜ大規模なデモが起こったかといえば、自分たちが憲法をないがしろにしたり、一向に満足な説明もしなかったからなのだが、菅官房長官をはじめ安倍政権の面々はそのことを無視しつづけた。しかも、世論調査などで無視しきれないまでに反対の声が高まると、菅官房長官は「(反対派は)一部野党やマスコミから洗脳されている」とまで言い出した(8月22日に開かれた弘前市での講演での発言)。
支持が得られないと「洗脳されている」と決め付ける、この鉄面皮ぶり。今年は映画監督である想田和弘氏が、botと化した菅官房長官の常套句を使えばネトウヨさえ戦闘意欲を欠かせてしまうというユニークな実験も話題を集めたが(過去記事)、まさに菅官房長官は政権を支える“安倍ロボット”なのだろう。